化学徒の備忘録(かがろく)|化学系ブログ

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高吸水性高分子の構造、吸水機構、用途について

高吸水性高分子とは

分子量が大きい分子のことを高分子というが、その高分子の中でも特に水を吸収する能力の高い高分子を高吸水性高分子という。高吸水性ポリマーや高吸水性樹脂ともいわれる。

自重の1000倍以上の重量の水を吸収するものも報告されている。

紙や布なども水を吸収するが、これらの水の吸収は主に"毛細管現象"によるものである。一方で、高吸水性高分子は毛細管現象以外の機構も働き、水を吸収している。

代表的な高吸水性高分子にポリアクリル酸ナトリウムがある。

高吸水性高分子の構造について 

ポリアクリル酸ナトリウムなどの高吸水性高分子の基本骨格は枝分かれをした構造になっており、三次元の網目構造になっている。さらに置換基としてカルボキシル基を持っており、これがナトリウム塩の形になっている場合が多い。

高吸水性高分子の吸水機構について

高吸水性高分子の吸水機構は2段階に分けて考えることができる。

1:1段階目は、水分子が基本骨格の網目構造にとりこまれる段階である。カルボキシル基をもつために、高吸水性高分子は親水性が高く、水分子は網目構造に捕らえられることで放出されなくなる。

2:2段階目では、まず吸水された水によってカルボキシル基が電離してCOO-となる。その結果、COO-同士の静電反発によって網目構造が広がる。これによってさらに多くの水を捕らえることができるようになる。

高吸水性高分子の用途について

高吸水性高分子はオムツやナプキンなどへの利用が主である。

他の用途として、植樹への利用がある。砂漠への植樹の際に、高吸水性高分子を砂漠に埋め、その上に植樹を行う。これは高吸水性高分子が、吸水することで給水の回数が少なくなるからである。

他に、土木工事の止水剤として利用されることもある。