化学徒の備忘録

化学系の用語や論文をわかりやすく紹介していきます

結合エネルギー・凝集エネルギー・格子エネルギーとは

結合エネルギー・凝集エネルギーとは

原子やイオンは凝集せずにちりぢりで存在している状態よりも、互いに近くに集まった状態でいる方がエネルギー的に安定である。そのため、原子同士が結合して、分子や結晶を形成している。

この原子やイオンがちりぢりで存在している状態と、互いに近くに集まって結合を形成している状態とのエネルギー差を結合エネルギー (bond energy)もしくは凝集エネルギー (cohesive energy)という。言い換えると、凝集エネルギーとは、凝集して結合を形成し、固体や液体状態である原子や分子を、互いに無限遠にまで引き離すために必要なエネルギーということができる。この凝集エネルギーの大きさは、凝集による安定化エネルギーと等しい。

希ガス元素の凝集エネルギーは、周期表の縦で比べると、下に行くほど大きくなる。また、希ガス元素の凝集エネルギーは典型元素の炭素やケイ素の凝集エネルギーと比べると非常に小さい。

結合エネルギーとポテンシャル曲線・原子間距離との関係

ここでは簡単のために、二つの原子での結合を考える。

二つの原子の距離である原子間距離をRとする。一般的に、原子間距離R\inftyとなるときのポテンシャルエネルギーを0とする。また、R → \inftyとなった状態が原子やイオンがちりぢりになった状態に相当する。

二つの原子の結合では、ポテンシャルエネルギーを縦軸、原子間距離を横軸とすると、二つの結合の関係は極小をとるポテンシャル曲線で表される。

 このポテンシャル曲線の極小の位置で結合が最安定となり、極小をとる原子間距離におけるポテンシャルエネルギーの絶対値が結合エネルギーである。

原子間に働く力F(R)とポテンシャルエネルギーV(R)の間には次の関係がある。

\displaystyle F(R) = - \frac{\partial V(R)}{\partial R}

ここで、 F(R) \lt 0である場合、原子間に引力が働いていることを表す。また、ポテンシャル曲線の極小をとる原子間距離をR_0とすると、R \gt R_0では原子間に働く力は引力となる。

 F(R) \gt 0である場合、原子間に斥力が働いていることを表す。R \lt R_0では原子間に働く力は斥力となる。

つまり、R \gt R_0である場合は原子間に引力が働き、R \lt R_0である場合は原子間に斥力が働き、原子間力が0となるR = R_0で原子間距離が保たれる。

格子エネルギーとは

原子やイオンがちりぢりである状態と固体結晶となった状態とのエネルギー差は格子エネルギー (lattice energy) といわれる。つまり、格子エネルギーとは結晶格子の結合エネルギーである。格子エネルギーは、結晶を結晶を構成する原子もしくはイオンがちりぢりである状態にするために、必要なエネルギーといえる。

イオン結晶の場合には、格子エネルギーはマーデルングエネルギーに補正を加えたものと等しくなる。