化学徒の備忘録(かがろく)|化学系ブログ

理系の筆者が化学系の用語や論文、動画、ノウハウなどを紹介する化学ブログ

DNAの糖・リン酸・塩基の構成と構造

DNAとは

DNAとは、デオキシリボ核酸の通称であり、2-デオキシリボヌクレオチドが3'-5'間のリン酸ジエステル結合で直鎖状に重合した高分子化合物である。

DNAの構成

このDNAの構成単位はヌクレオチドである。このヌクレオチドは糖、塩基、リン酸の3成分が結合したものである。

また核酸塩基が糖に結合したものはヌクレオシドという。

核酸の骨格となる糖には、RNAに含まれるD-リボースとDNAに含まれる2-デオキシ-D-リボースの2種類が存在する。D-リボースと2-デオキシ-D-リボースの構造の違いは、2位の炭素に結合するヒドロキシ基があるか無いかである。このヒドロキシ基が存在しないDNAの方が構造的には安定である。

この糖に塩基が結合する。

塩基 

核酸に含まれる塩基にはプリン塩基とピリミジン塩基の2種類がある。プリン塩基にはアデニン (A) とグアジニン (G) の2種類がある。ピリミジン塩基には、チミン (T) 、シトシン (C) 、ウラシル (U) の3種類がある。ウラシルはRNAのみに含まれ、DNAには含まれない。

核酸塩基には、通常の塩基以外に構造が修飾された修飾塩基が存在する。修飾塩基は量的に存在しないため微量塩基といわれる。

RNAの修飾は核酸の機能の発現に重要である。塩基が修飾されると核酸が正しく機能できるように構造が少し変化する一方で、正しく機能しない場合にはガン化することもある。

ポリヌクレオチド鎖の配列を表記するときは、一般的に核酸の塩基の配列のみで書き表す。つまりDNAの塩基配列は、塩基が結合したヌクレオチド配列を表している。

リン酸

核酸のポリヌクレオチド鎖は、隣り合うヌクレオチドの糖の3'-OH (ヌクレオシド中の3'位のOH基) と5'-OH (ヌクレオシド中の5'位のOH基) のリン酸ジエステル結合で連結されている。ポリヌクレオチド鎖は、一方の端に遊離の5'-OHもしくは、5'-OHがリン酸化された5'-Pをもっている。ここではリン酸基をPで表している。また、他方の端には3'-OHもしくは、3’-OHがリン酸化された3'-Pをもっている。このような糖がリン酸で橋かけし、ポリマーを形成することで、連結された構造はヌクレオチド残基に共通の構造である。

DNAの構造

DNAは2本の鎖から構成される。そして、DNAはこの二本鎖が螺旋状になった二重螺旋構造をとっている。二本鎖を構成するポリヌクレオチドの結合は逆向きであり、5'→3'の鎖と3'→5'の鎖が相補的に逆平行に配列している。また、二本のポリヌクレオチド鎖は相対する塩基間の水素結合によって結び付けられ、塩基対を形成している。

塩基対はアデニン (A) とチミン (T)、グアニン (G)とシトシン (C)の間のみで形成される。

またアデニンとチミンの間の水素結合は2つ、グアニンとシトシンの間の水素結合は3つである。そのため、加熱に対しては、グアニンとシトシンの結合の方が切断されにくい。

水素結合によって安定な相補対となった二本鎖ポリヌクレオチドは上から下へ右向きの螺旋になった構造をしている。この構造では、親水性のデオキシリボースとリン酸が外側に二重螺旋を形成し、親水性の低い塩基対が螺旋構造の内部にある。

DNAを外側から見ると、大きな溝と小さな溝が交互に存在している。特に大きな溝はDNAの働きを調節するタンパク質や酵素が結合する際に重要となる。