化学徒の備忘録(かがろく)|化学系ブログ

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ペロブスカイト型構造・有機無機ハイブリッドペロブスカイトの解説

ペロブスカイト型構造

ペロブスカイト型構造は、ABX3(A = Ca, Ba, Sr, Pbなど、B = Ti, Zr, Sn, Hfなど、X = Oなど)で表される立方晶系の結晶構造である。

灰チタン石 CaTiO3 (ペロブスカイト, perovskite)にちなんで命名された結晶構造である。

特に酸化物においてペロブスカイト型構造をとることが多い。SrTiO3、SrZrO3、SrHfO3、SrSnO3、BaSnO3、SrHfO3などの化合物がペロブスカイト型構造をとることが知られている。

ペロブスカイト型構造の一般式を、ABX3とすると、格子中でA原子が中心に存在する単位格子をA型という。中心のA原子は8個のB原子と12個のX原子に対して配位している。

酸化物の場合、X = Oであるため、AとBの電荷数の和は+6である必要がある。しかし、AとBの電荷数はA = +2、B = +4のものやA = +3、B = +3などそれぞれ様々なものがある。

一般的に、Aは陽イオンでも電荷が低くイオン半径が大きいものが多く、Bは陽イオンでも電荷が高くイオン半径が小さいものである場合が多い。

ペロブスカイト型構造の見方としては、立方最密充填構造 (ccp) 配列の位置にAイオンとXイオンを1:3の比で配置し、そこにできる八面体孔にBイオンを置いたものと考えることができる。

また、BイオンをXイオンがつくるBX6八面体を構成単位とした構造骨格を考え、これら8個の八面体に囲まれた空間の中心にAイオンを置くものと考えることもできる。

 

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ペロブスカイト型構造は、組成によって、強誘電性、半導体性、超伝導性、混合導電性、電気光学効果、触媒効果などを示す。

有機無機ハイブリッドペロブスカイト

ペロブスカイト型構造のA原子が存在する場所をAサイト、B原子が存在する場所をBサイトというとき、Aのサイトに有機物の陽イオン、Bのサイトに金属の陽イオン、Xにハロゲンが存在するペロブスカイト型構造の化合物を有機無機ハイブリッドペロブスカイトという。

有機物と無機物によって、構成される有機無機ハイブリッドペロブスカイトは、太陽電池材料として、盛んに研究が行われている。