化学徒の備忘録(かがろく)|化学系ブログ

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シュレーディンガーの波動方程式 (シュレーディンガー方程式) の解説

シュレーディンガーの波動方程式・シュレーディンガー方程式

電子は粒子としての性質と波としての性質をもっている。

そのため、シュレーディンガーは電子の運動に対して、波の運動を表す式を適用した。

このシュレーディンガーが導出した方程式は、シュレーディンガーの波動方程式 (シュレディンガーの波動方程式)、もしくはシュレーディンガー方程式 (シュレディンガー方程式) といわれる。

シュレーディンガーの波動方程式は量子力学や量子化学の基礎方程式となっている。

このシュレーディンガーの波動方程式は、系の状態の時間発展を記述する方程式である。そして、この系の状態を表現するものが、波動関数 \Psiである。

波動関数 \Psiは、系を構成しているすべての粒子の座標と時間を変数とする関数であり、波動関数には考えている系のすべての情報が含まれる。

時間依存のシュレーディンガーの波動方程式

時間依存のシュレーディンガーの波動方程式は、次のように表される。

 \displaystyle i \hbar \frac{\partial \Psi }{\partial t} =\hat H  \Psi

ここで、 \hbarは換算プランク定数であり、プランク定数 h2 \piで割ったものである。 \hat Hはハミルトン演算子もしくはハミルトニアンといわれる。

このシュレーディンガーの波動方程式は、時間tに関する微分を含んでいるため、時間依存のシュレーディンガーの波動方程式といわれる。

ある時間の波動関数が決定できると、任意の時間での波動関数が決定できるということになる。

定常状態のシュレーディンガーの波動方程式

波動関数が時間にあらわに依存しない場合のことを、定常状態という。

定常状態のシュレーディンガーの波動方程式は次のように表される。

 \hat H \Psi = E \Psi

ここで、Eは考えている系の全エネルギーである。このシュレーディンガーの波動方程式は、考えている系のハミルトン演算子が決定されると、その系の状態を表す波動関数と、系の安定性を表すエネルギーが決定できるということになる。