化学徒の備忘録(かがろく)|化学系ブログ

理系の筆者が化学系の用語や論文、動画、ノウハウなどを紹介する化学ブログ

粒子のシュレーディンガーの波動方程式の導出

粒子のシュレーディンガーの波動方程式の導出

物質の波動を記述する波動方程式がシュレーディンガー方程式 (シュレディンガー方程式)である。

量子力学的な粒子の波動方程式としてのシュレーディンガー方程式を導出する。

まず、波動は場所xと時間tの関数\Psi(x, t)で表されるとする。

ここで、波数kで角振動数\omegaの単純な正弦波を考える。

\Psi(x, t)を複素数、Aを振幅として、正弦波を複素数表示すると、次のように表すことができる。

\Psi(x, t) = A \exp(i (kx - \omega t))

上の式の両辺をtで微分すると、次のようになる。

\displaystyle \frac{\partial }{\partial t} \Psi(x, t) = -i \omega \Psi(x, t)

ここで、振動数\nuの電磁波のエネルギーEは次のように量子化されるというプランクの量子仮説を考える。

 E = h \nu = \hbar \omega

この関係式を物質波にも適用できると考えると、\frac{\partial }{\partial t} \Psi(x, t) = -i \omega \Psi(x, t)の式は次のようになる。

 \displaystyle i \hbar \frac{\partial }{\partial t} \Psi(x, t) = \hbar \omega \Psi(x, t) = E \Psi(x, t)

また、\Psi(x, t) = A \exp(i (kx - \omega t))xで二階微分すると、次のようになる。

 \displaystyle  \frac{\partial ^2}{\partial x^2} \Psi(x, t) = -k^2 \Psi(x, t)

また、粒子として見たときの運動量ベクトルをp、波として見たときの波数ベクトルをk、換算プランク定数を\hbarとしたとき、p = \hbar kとなる関係より、質量をmとすると、運動エネルギーは次のように表される。

\displaystyle  E = \frac{p^2}{2 m} = \frac{\hbar ^2 k ^2}{2m}

上の2つの式より、次の式が得られる。

\displaystyle  E \Psi(x, t) = \frac{\hbar ^2 }{2 m} k ^2 \Psi(x, t) = - \frac{\hbar ^2 }{2m} \frac{\partial ^2}{\partial x^2} \Psi(x, t)

上の式と、\displaystyle i \hbar \frac{\partial }{\partial t} \Psi(x, t) = \hbar \omega \Psi(x, t) = E \Psi(x, t) の式より次の式が得られる。

\displaystyle i \hbar \frac{\partial }{\partial t} \Psi(x, t) = - \frac{\hbar ^2 }{2m} \frac{\partial ^2}{\partial x^2} \Psi(x, t)

これが量子力学的な粒子の波動方程式としてのシュレーディンガー方程式である。

上の式を3次元に拡張する場合には、rを空間座標とすると、x \rightarrow r \frac{\partial ^2}{\partial x^2} \rightarrow \nabla ^2と置き換える。よって3次元の自由粒子のシュレーディンガー方程式は次のようになる。

\displaystyle i \hbar \frac{\partial }{\partial t} \Psi(r, t) = - \frac{\hbar ^2 }{2m} \nabla ^2 \Psi(r, t)

粒子がポテンシャルV(r, t)を感じながら運動する場合、このポテンシャルV(r, t)が運動エネルギーEに加わるため、次のようになる。

\displaystyle i \hbar \frac{\partial }{\partial t} \Psi(r, t) = - \frac{\hbar ^2 }{2m} \nabla ^2 \Psi(r, t) + V(r, t) \Psi(r, t)

演算子としてハミルトニアンHH = \frac{( -i \hbar) ^2}{2m}  \nabla ^2 + V(r, t)とすると、 シュレーディンガーの波動方程式は次のように簡単な形で表すことができる。

\displaystyle i \hbar \frac{\partial }{\partial t} \Psi(r, t) = H \Psi(r, t)

また、エネルギーEを用いると次のように表される。

E \Psi(r, t) = H \Psi(r, t)