化学徒の備忘録(かがろく)|化学系ブログ

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NMR装置の構成の簡単な説明

現在使用されている大半のNMR装置は、パルスFT-NMRといわれる種類の装置である。

このパルスFT-NMR装置は大きく分けると、磁石、分光計、コンピューターで構成されている。

磁石

使用されている大半の磁石は、超伝導磁石である。旧型の装置や小型の装置では、電磁石や永久磁石が使用されている場合もある。

超伝導磁石は液体ヘリウムで冷却され、さらに液体窒素で保温された魔法瓶に入っている場合が多い。当然、液体ヘリウムや液体窒素は量が減っていくため、定期的に補充が必要である。この部分には磁石以外に、コイルが入っている。そして、磁石の中心にサンプルを入れる。

分光計

分光計部分には、分光計以外にパルスプログラマーなども含まれている。この分光計部分でラジオ波の照射やシグナルの検出などが制御されている。

コンピューター

コンピューターで、シグナルの変換や解析などが行われる。

試料

試料は液体もしくは、溶液に調製し、ガラスチューブに入れて測定する場合が多い。

他には、ジルコニアなどのチューブに固体状態のまま入れ測定する固体NMR測定もよく行われている。ただし、固体固有の環境では、NMRのシグナルの広がりや感度が低下する。

気体では、濃度が低すぎるため、一般的には測定は行われない。