NMR測定の欠点について
NMR (核磁気共鳴) 測定は、特に有機化合物の分子構造の解析で非常に有用な測定方法として使用されてきた。
しかしながら、NMR測定も万能ではなく、いくつか劣っている点も存在する。
感度が低い
NMR法は、他のクロマトグラフィーや、マススペクトルなどの分析方法と比べると、感度が数桁低い場合もある。そのため高感度な検出法と比較すると、NMR法は微量検出法として利用することは難しい場合も多い。
そのため、未知の有機化合物をNMR法によって構造決定する場合は、試料量は数mg以上が必要である場合が多い。
測定時間が長い
FT-NMR測定などでは、感度が低いため、サンプル濃度が低い場合では測定に必要な時間が非常に長くなる。
また原理的な問題として、核磁気共鳴現象自体の寿命が、他の分光法で用いられる現象の寿命より長い場合が多い。そのため、寿命の短い反応中間体の検出や、不安定な化合物の測定も難しいことが多い。
NMR測定だけで構造決定できない
これは、他の構造決定法でも同様の課題がある。
単純なNMR測定では、サンプルの純度、分子の分子量、元素組成、キラル中心の決定などを行うことは難しい場合が多い。
そのため、多くの構造決定の場合、いくつかの測定法を併用する。
しかしながら、こういった課題も、測定方法の工夫や、技術、測定手法の開発によって克服する方法が提案されているものもある。