NMRで観測できる核と観測できない核
NMRは核磁気共鳴 (nuclear magnetic resonance) の略である。NMR法はとくに、有機化学の分野で、有機化合物の分子構造の解析に使用されている。
しかし、すべての原子の核が核磁気共鳴現象を起こすわけではない。そのため、原理的にはNMR法で、観測できる核と観測できない核が存在する。
具体的には核スピン量子数という、各原子固有の値が0の核は観測することができない。
この核スピン量子数の値は元素の種類だけでなく、同位体によっても異なる。そのため、元素によっては観測できる同位体と観測できない同位体が存在することになる。
例えば炭素では自然界に存在する炭素の99%を占める12Cは核スピン量子数が0であり、NMR法では観測できない。一方で、自然界に存在する炭素の1%である13Cは核スピン量子数がであるため、NMR法で観測ができる。
大半の元素は、原理的にはいずれかの同位体を、NMR測定によって観測することができる。
NMRで観測しやすい核と観測しにくい核
NMRのシグナルでは、感度とシグナルの形によって、観測しやすい核と観測しにくい核に分けることができる。観測しやすい核と観測しにくい核は原子核の固有の値で決められる。
NMRのシグナルに寄与する原子核固有の値として、核磁気回転比、天然存在比、核のスピン量子数、四極子モーメントが挙げられる。このうち、核磁気回転比、天然存在比は主に感度に、核のスピン量子数、四極子モーメントは主にシグナルの形に寄与する。
核磁気回転比は、シグナルの信号としての強さに直接関係し、単純に核磁気回転比が大きいほど強いシグナルが得られる。
天然存在比は、天然中のその核種が存在している比率であるため、天然存在比が低い場合、濃度が薄いことと同じ状態となり、シグナルの強さは弱くなる。
核のスピン量子数の値がより大きいものは四極子核といわれる。一般的に四極子核は、の核と比較してシグナルが幅広くなる。また、複雑に分裂する場合も多い。そのためシグナルの解釈が難しくなる。
こういった因子の影響を考え、核種の感度について1Hや13Cといった基準となる核種と比較して算出された目安として、相対感度がある。