化学徒の備忘録(かがろく)|化学系ブログ

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不均化について

不均化について

不均化とは、ある化学種がそれと同じ化学種と酸化還元を起こす現象のことである。 不均化によって、最初の化学種に含まれている特定の元素に着目すると、酸化数が高くなった化学種と酸化数が低くなった化学種を生成する。

マンガン酸カリウムK2MnO4は暗緑色の結晶である。これを水に溶かすと緑色の溶液になる。この色はマンガン酸イオンMnO42-由来の色であるが、ここに酸を加えると不均化が起こる。 その結果、二酸化マンガンMnO2の沈殿と過マンガン酸イオンMnO4-を生じ、溶液の色は赤紫色になる。 この反応を反応式で表すと次のように書ける。

3MnO42- + 4H+ → 2MnO4- + MnO2 + 2H2O

この不均化では、マンガンの酸化数は+VIから+IVと+VIIに変化したことになる。

このような、不均化は次亜塩素酸ナトリウムNaClOの水溶液でも起こる。この場合、塩素酸イオンClO3-の濃度の増加が起こり、反応式で表すと次のようになる。

3ClO- → 2Cl- + ClO3-

この場合は、塩素の酸化数は+Iから-Iと+Vに変化している。 原子の酸化数を考えたとき、不安定な酸化数を挟むような形で両側に安定な酸化数が存在する場合に不均化は起こりやすい。