スピルオーバーとは
金属と担体からなる固体触媒で、金属や金属化合物の表面に吸着された水素などの物質が、拡散によって触媒表面上や触媒の担体の表面上などを移動し、炭素や金属酸化物、固体酸などの担体へと移動する現象のことをスピルオーバー現象 (spillover)という。
スピルオーバー現象は移動現象であるため、質量の小さい物質ほど顕著に現れると考えられることがあり、特に水素のスピルオーバーについては報告例が多い。
水素のスピルオーバーの場合は、白金などの触媒の表面で水素が活性化し、活性化し解離した水素原子が触媒の表面を移動し炭素や金属酸化物などの担体へ移動する。
このスピルオーバーは担持金属量から想定される以上の大量の水素吸着や、担体の金属酸化物などの還元として観察されることもある。
逆スピルオーバーとは
スピルオーバーとは逆に、水素原子などの化学種が担体などに吸着されている状態から、金属などの水素活性化物質を介して分子として気相に脱離する現象を逆スピルオーバー現象 (inverse spillover, reverse spillover) という。
水素の逆スピルオーバーの場合は、担体に吸着されている水素原子やプロトンが金属などの水素活性化触媒上で再結合し分子状水素となる。