イオン結合について
陰イオンと陽イオンの静電引力 (クーロン引力) により、引き合って生じる結合をイオン結合という。
イオンのもつ静電引力には方向性がない。そのため、空間のどの方向にも作用することができる。よって、陽イオンと陰イオンは互いにできるだけ多く集まり、集合体をつくる。これが結晶となる。このイオン結合によって形成される結晶をイオン結晶という。
イオン結合を提唱したのは、Kosselである。Kosselは希ガスの電子配置が非常に安定であることに注目し、原子と原子は電子の授受によって、それぞれが希ガスと同じ電子配置をとることで、正と負のイオンとなり結合すると考えた。
例えばNaClでは、Na原子の3s軌道の電子を一つ渡すことで、希ガスのNeと同じ電子配置をもつNa+となり、Cl原子は3p軌道に電子を一つ受け取ることでArと同じ電子配置をもつCl-となり結合する。
ここで注意することは、NaClという単独の分子が存在するわけではなく、Na+とCl-が交互に無限に連鎖した大きな集団が存在するということである。
イオン結合は、陽イオンになりやすい原子と陰イオンになりやすい原子との間で成立しやすく、イオンになりやすいかどうかはイオン化エネルギーと電子親和力から考えることができる。