化学徒の備忘録(かがろく)|化学系ブログ

理系の筆者が化学系の用語や論文、動画、ノウハウなどを紹介する化学ブログ

NMRの縦緩和・横緩和・(スピン-格子緩和・スピン-スピン緩和)・緩和時間について

NMRの緩和について 核磁気共鳴での緩和について、同時に起こる独立した2つの過程が存在すると考えることができる。 まず、緩和についてエネルギー的に考えると、磁石の中に置かれ、核磁気共鳴現象が起こっていない状態では、ボルツマン分布に従って、核スピ…

NMRの化学シフト(ケミカルシフト)・基準物質・電子密度・磁気遮蔽・寄与する効果

化学シフト (ケミカルシフト) とは NMRスペクトルの横軸 化学シフトの範囲 化学シフトの基準物質 化学シフトと電子密度・磁気遮蔽 化学シフトへの効果 隣接官能基による磁気異方性効果 電子軌道の混成の影響 置換基効果 立体的効果 (van der Waals効果) 共役…

NMR(核磁気共鳴)現象の基本的な原理の解説

核磁気共鳴現象の基本原理 核磁気モーメントについて 原子核が核スピン量子数をもつとき、磁気モーメントが現れる。この原子核がもつ磁気モーメントを核磁気モーメントという。 磁場中に置かれた大きさの核磁気モーメントのエネルギーは、次の式で表される。…

NMRで観測ができる核・できない核・難しい核

NMRで観測できる核と観測できない核 NMRは核磁気共鳴 (nuclear magnetic resonance) の略である。NMR法はとくに、有機化学の分野で、有機化合物の分子構造の解析に使用されている。 しかし、すべての原子の核が核磁気共鳴現象を起こすわけではない。そのため…

NMR装置の構成の簡単な説明

現在使用されている大半のNMR装置は、パルスFT-NMRといわれる種類の装置である。 このパルスFT-NMR装置は大きく分けると、磁石、分光計、コンピューターで構成されている。 磁石 使用されている大半の磁石は、超伝導磁石である。旧型の装置や小型の装置では…

NMR測定の欠点について

NMR測定の欠点について NMR (核磁気共鳴) 測定は、特に有機化合物の分子構造の解析で非常に有用な測定方法として使用されてきた。 しかしながら、NMR測定も万能ではなく、いくつか劣っている点も存在する。 感度が低い NMR法は、他のクロマトグラフィーや、…

NMR(核磁気共鳴)と化学シフト・スピン-スピン結合・緩和の基礎的な解説

NMRについて NMRは核磁気共鳴 (nuclear magnetic resonance) の略である。NMR法はとくに、有機化学の分野で、有機化合物の分子構造の解析に使用されている。 NMR法は、簡単にいうと核スピンのエネルギー吸収・放出現象を観察している。 核磁気共鳴現象を利用…

導体・電子伝導体・イオン伝導体・混合伝導体について

導体と不導体 物質は電気を通すかどうかで、大きく3つに分けることができる。電気を通す物質は導体 (conductor) といわれる。また電気を通さない物質は不導体、絶縁体 (insulator) といわれる。また、電気伝導性が導体と絶縁体の中間である物質は半導体とい…

一次電池・二次電池・燃料電池について

電池について 化学エネルギーを電気エネルギーに変換する電力源として、電池 (battery) と燃料電池 (fuel cell) がある。 電池は一般的に電極活物質などすべてが電池内部に収納されている。一方で、燃料電池は燃料電池の外部から反応物質が供給される仕組み…

気体の状態方程式の解説【ファンデルワールスの状態方程式・ビリアルの状態方程式など】

状態方程式とは 状態方程式とは、熱平衡状態にある物質系の圧力、温度、体積の3つを変数の間に成立する関係式であり、その物体の状態を表す。状態式ともいう。 そのため状態方程式は、気体、液体、固体のそれぞれについて考えることができる。 しかし多くの…