化学徒の備忘録

化学系の用語や論文をわかりやすく紹介していきます

気体の状態方程式の解説【ファンデルワールスの状態方程式・ビリアルの状態方程式など】

状態方程式とは

状態方程式とは、熱平衡状態にある物質系の圧力、温度、体積の3つを変数の間に成立する関係式であり、その物体の状態を表す。状態式ともいう。

そのため状態方程式は、気体、液体、固体のそれぞれについて考えることができる。

しかし多くの場合、状態方程式では気体のことを取り扱う。

理想気体の状態方程式

気体について圧力をP、体積をV、絶対温度をTとすると、理想気体については次の理想気体の状態方程式が成り立つ。

 PV = nRT

ここで、nは理想気体のモル数、Rは気体定数である。

この理想気体の状態方程式はボイル・シャルルの法則(ボイル・ゲイ=リュサックの法則)からこのように導出される。クラペイロンの状態方程式、クラペイロンの式、クラペイロン-メンデレエフの法則ともいわれる。

理想気体の状態方程式に対して、実際の気体では気体分子間に作用している力や、気体分子の大きさを考慮する必要がある。

そのため、実際の気体については、いくつかの状態方程式が考えられている。

ファン・デル・ワールスの状態方程式

ファン・デル・ワールス (ファンデルワールス) の状態方程式は実在気体についての状態方程式の簡単な近似式であり、次のように表される。

 \displaystyle \left( P +\frac{a}{V^2} \right) (V-b) = RT

ここで、aは分子間の引力に関する定数であり凝集圧ともいわれる。これは気体の分子間の引力による実効的な圧力上昇を表す。

bは分子の大きさに関する定数であり、排除体積ともいわれる。この排除体積bは分子自身の体積の4倍の体積となる。これは、気体分子の有限の大きさに由来する実効的な体積減少を表す。

abは気体によって異なり、それぞれの気体で固有の値となる。

クラウジウスの状態方程式

クラウジウスの状態方程式は、ファン・デル・ワールスの状態方程式を実在気体に合わせてより修正した式であり、次のように表される。

 \displaystyle \left( p +\frac{n^2 a}{T (V+c)^2} \right) (V-nb) = nRT

abcは物質固有の定数となる。

ビーッティー-ブリッジマンの状態方程式

ビーッティー-ブリッジマンの状態方程式は、三重点よりも上の実在気体の挙動をよく表す状態方程式として知られており、次のように表される。

 \displaystyle p = RT (1- \epsilon) \frac{V+B}{V^2}-\frac{A}{V^2}

またAB\epsilonはそれぞれ次のような関係がある。

\displaystyle A = A_0 \left( 1 - \frac{a}{V} \right)

\displaystyle B = B_0 \left( 1 - \frac{b}{V} \right)

\displaystyle \epsilon = \frac{c}{VT^3}

ビリアルの式

ビリアルの式(ビリアル状態方程式)は実際の気体について正確に表そうとした式であり、次のように表される。

 \displaystyle PV = RT \left( 1 + \frac{B}{V} + \frac{C}{V^2} + ・・・ \right)

ここでBC、・・・・は温度Tのみの関数である。また、それぞれBは第2ビリアル係数、Cは第3ビリアル係数、・・・といわれる。

通常、Bは低温では負であり、温度が上がると増加して正となる。そして、極大を経てさらに高温では徐々に減少していく。また、B = 0の温度はボイル温度といわれる。

カメルリン-オンネスの状態方程式

カメルリン-オンネスの状態方程式は気体の状態方程式を圧力の多項式の形で書いた式である。また、ビリアル展開式の一つでもあり、次のように表される。

 pV = A + Bp + Cp^2 + Dp^3 +・・・