化学徒の備忘録(かがろく)|化学系ブログ

理系の筆者が化学系の用語や論文、動画、ノウハウなどを紹介する化学ブログ

不活性電子対効果についての説明

不活性電子対効果について 立体化学的不活性電子対効果(stereochemical inert pair effect)と不活性電子対効果は熱力学的6s不活性電子対効果(thermodynamic 6s inert pair effect)に区別することができる。 立体化学的不活性電子対効果について 非共有電子対…

ファヤンスの規則と分極についての解説

ファヤンスの規則(Fajan's rules)について ファヤンスの規則(ファヤンス則)とは1923年にFajansによって提案された経験則である。ファヤンスの規則は、誘起される分極の大きさを推定する指針を規則としてまとめたものであり、化学結合のうち共有結合性の度合…

ファヤンス法(塩化物イオンの定量法)について

水道水は塩素殺菌されている場合が多い。こういった水道水は多くの塩化物イオンを含む。 こういった溶液に含まれている塩化物イオンを定量する方法として、ファヤンス(Fajans)法が知られている。 ファヤンス法について ファヤンス法は次の流れで行う。 まず…

1次元の線状高分子の縮合重合反応の解説

縮合重合について モノマーが重合することによって、ポリマーが形成します。この重合には、縮合重合や付加重合という種類があります。ここでは、縮合重合について解説します。 モノマーの末端のカルボキシル基-COOHとヒドロキシ基が連続的に脱水縮合反応する…

界面を含む系のGibbs-Duhemの式の導出

均一系の可逆変化について まずは均一系の可逆変化について、体積変化のみの仕事がある場合を考える。 系になされる仕事を、圧力を、体積変化をとする。このとき次の関係が成り立つ。 また、内部エネルギーの変化を、絶対温度を、エントロピー変化を、成分の…

両親媒性物質と界面での膜について

両親媒性物質について 親水部と疎水部を一つの分子中にもつ物質を両親媒性物質という。 両親媒性物質は、溶液中や界面で配向する。そして、両親媒性物質は吸着膜やミセルのような分子集合体を形成する。 油と水の界面、空気と水の界面、油と空気の界面のよう…

元素の対角関係、LiとMg、BeとAlの解説

元素の対角関係とは 典型元素には対角関係(diagonal relationship)がある元素がある。 元素の対角関係とは、元素周期表において、一つ右下にある元素と類似性をもつというものである。 リチウムとマグネシウムの対角関係 リチウム(Li)は元素周期表において、…

教科書、専門書の選び方、読み方についてのまとめ

最近は、専門的なことも、インターネットで検索すれば情報が得られることが多くなりました。しかし、教科書や専門書が重要であることも事実です。 教科書や専門書も、多くのものが販売されています。そして、厳しい事実なのは、一冊の値段が高く、5000円を超…

アルカリ金属と化合物の性質についての解説

アルカリ金属(Li、Na、K、Rb、Cs、Fr)とは? リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、フランシウム(Fr)のこれらの1族元素のことをアルカリ金属という。 アルカリ金属の化学的性質は、s電子を一つ失って希ガスの電子配置…

水熱合成法の特徴についての解説

水熱合成法について 100 °C以上かつ1気圧以上の高温高圧の反応条件下で溶媒として水が反応に関わる化学反応のことを水熱反応という。この水熱反応を利用して、物質を合成する方法を水熱合成法もしくはハイドロサーマル法(hydrothermal synthesis)という。 余…