化学徒の備忘録

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水熱合成法の特徴についての解説

水熱合成法について

100 °C以上かつ1気圧以上の高温高圧の反応条件下で溶媒として水が反応に関わる化学反応のことを水熱反応という。この水熱反応を利用して、物質を合成する方法を水熱合成法もしくはハイドロサーマル法(hydrothermal synthesis)という。

余談であるが、水を含む高温高圧の反応条件下での合成法をソルボサーマル法(solvothermal synthesis)という。

水熱条件下の水の状態によって、臨界点以上の超臨界領域を利用する場合と、臨界点以下の亜臨界領域を利用する場合で区別することもある。

水熱合成法を用いることによっていわゆる鉱物が実験室的で合成できる。

近年では工業的に水晶単結晶やゼオライト、チタン酸バリウムなどが水熱合成法により生産されている。

水熱合成法の特徴について

水熱合成法では、融点よりも低温で、比較的溶解度が低い状態でも、大型の単結晶を成長できるという特徴がある。

また、蒸気圧が高い物質や分解溶融物質、融解よりも先に低温で分解する物質、安定でない低温相の結晶成長が可能であるという特徴がある。

水熱合成時の水の変化について

一般的に、内容積に対して33%の水を室温でオートクレーブ入れて加熱すると、液体の膨張率と気相への移行量が同じになる。この水熱合成法では、液相の体積は変化せず、臨界点の直下まで液相と気相が存在する。

この条件の場合は、まず液体の水の密度が低下する。次に、蒸気圧曲線に従って、蒸気圧が上昇する。そして、水のイオン積が増加し、270 °C付近で極大となる。また、粘度や表面張力、誘電率も減少する。この結果、水はイオン反応の好適反応場となる。

バッチ式水熱合成法

高温高圧の水を保持する圧力容器を用いて水熱合成する場合、バッチ式水熱合成法といわれる。また、このとき使用される圧力容器のことをオートクレーブともいう。

例えば、小型のものでは、内側は反応系への汚染などを防ぐためテフロン製の容器を使用し、高圧を保つために外側にステンレス製の容器を使用する容器が二重のものがある。

一方で大型のものでは、10 mを超えるような大型の容器もある。

連続式水熱合成法について

水熱合成にもちいる装置が、室温にある原料の水溶液やスラリーをポンプなどを使用することで、高温部に連続的に圧入して水熱合成している場合、連続式水熱合成法といわれる。

連続式の場合には、大量生産が可能であり、工業的な生産には連続式の装置が使用されることが多い。