パウリの排他原理
パウリの排他原理とは、1つの原子内では、2個以上の電子が量子数で表されるエネルギーやスピンなどが同じ状態を同時にとることはないという原理のことである。
パウリの排他原理以外にパウリの原理やパウリの禁制則、パウリの禁制原理、パウリの排他律ともいわれる。
原子内の電子は4つの量子数である主量子数、全角運動量量子数(方位量子数)、磁気量子数、スピン量子数によってその状態を示すことができる。パウリの排他原理は、この4つの量子数が全て同じ電子は、1つの原子中には存在しないというものである。
また4つの量子数の意味を考えると、まず主量子数、全角運動量量子数(方位量子数)、磁気量子数によって1sや2pなどのうち電子が2個入ることのできる軌道が1つ決まり、さらにスピン量子数が同じにならないということから、電子が2個入ることのできる軌道には、同じスピンの電子は入らない、つまり異なるスピンの電子が1つの軌道に入るという原理だと解釈することもできる。
歴史的経緯
パウリの排他原理は1924年にパウリによって提唱されたものである。このパウリが提唱したときはスピンが未発見であったため、1つの量子状態には2個の電子しか存在できないという原理を提唱していた。
さらに、フェルミ粒子やボース粒子に拡張され、パウリの排他原理は、2つ以上のフェルミ粒子は同じ量子状態となることはないという原理と記載されている場合も多い。フェルミ粒子は半整数スピンをもつ粒子であり、電子の他にミュー粒子やニュートリノ、陽子、中性子などが当てはまる。