化学徒の備忘録(かがろく)|化学系ブログ

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フェルミ準位の解説

フェルミ準位とは

フェルミ準位とは、絶対零度において、有限個の電子をエネルギーの低い量子状態から順番に詰めていき、電子が満ちる最大エネルギー値のエネルギー準位のことである。

また、熱平衡の状態にある物質中のエネルギー準位を考えたときに、電子がもつエネルギーの上限値の準位がフェルミ準位となる。

フェルミ準位の別の表現としては、次のようなものがある。

フェルミ分布関数の値が、 \frac{1}{2}となるエネルギー準位である。

つまり、フェルミ準位に電子がはいる確率は0.5であり、フェルミ準位よりも上のエネルギーの準位にはほとんど電子は入らない。

素粒子のうち、半整数スピンをもつ粒子および奇数個の核子からなる粒子をフェルミ粒子という。具体的には、電子、陽子、中性子などがフェルミ粒子である。

このフェルミ粒子の粒子系の分布はフェルミ-ディラック統計に従う。この場合、粒子がエネルギー \epsilonの状態を占める確率は次のフェルミ分布関数で与えられる。

 \displaystyle f (\epsilon) = \frac{1}{e^{ \frac{ \epsilon - \mu }{kT}}  + 1}

kはボルツマン定数であり、Tは絶対温度である。そして、 \muがフェルミ準位である。

固体では、フェルミ準位がエネルギーバンド中にあるか、エネルギーバンドの間にあるかによって、金属と絶縁体が区別される。