タンパク質の一次構造の決定法
タンパク質の構造は一次構造と高次構造に分けられる。高次構造はさらに二次構造、三次構造、四次構造に細分される。
タンパク質は複数のアミノ酸がペプチド結合で繋がり構成されている。タンパク質の一次構造とは、タンパク質のアミノ酸配列順序のことである。このタンパク質の一次構造の決定法はいくつかの方法がある。
cDNAを利用した一次構造の決定
タンパク質の一次構造を、そのタンパク質のcDNA (相補的DNA) の塩基配列から決定する方法がある。
タンパク質のアミノ酸配列はDNAの塩基配列に対応している。
この方法では微量のmRNAを出発原料として、分子クローニングによりcDNAをつくり、その塩基配列からタンパク質の一次構造を決定する。
この方法の欠点は、タンパク質に4個以上の半システイン残基が存在する場合、どの半システイン残基がS-S結合しているかは決定することができない。
化学的な一次構造の決定方法
化学的な一次構造の決定は、次のような流れで行われる。
まず精製試料について、単純タンパク質か複合タンパク質かを調べる。
次に、質量分析及びアミノ酸分析によって構成アミノ酸の種類と数を決定する。
N末端アミノ酸を決定する。また、C末端アミノ酸残基を決定する。
ジスルフィド結合 (S-S結合) があれば、ジスルフィド結合 (S-S結合)を還元アルキル化し、一本鎖タンパク質にする。
タンパク質を断片化 (フラグメント化) し、クロマトグラフィーで分離し、得られたペプチド断片をエドマン法などによってアミノ酸配列を決定する。
このペプチドマッピングを少なくとも2回以上、異なる方法で実施する。
精製試料のペプチド断片からジスルフィド結合 (S-S結合) の位置を決定する。
最後に、多くの断片のアミノ酸配列を組み合わせて総合的に全一次配列を決定する。