化学徒の備忘録(かがろく)|化学系ブログ

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テルミット反応と反応式・テルミット法について

テルミットとは

酸化鉄粉 (Fe2O3) とアルミニウム粉 (Al) の当量混合物のことをテルミット (Thermit) といいます。

テルミットは、点火するとアルミニウムが酸化されて高熱を発生し3000℃以上の高温となり、還元されて生じる金属の鉄が融解した状態で得られます。

このテルミットを点火したときに生じる反応のことを一般的にテルミット反応といいます。

これは、式にすると次のような反応になります。

Fe2O3 + 2Al → 2Fe + Al2O3

この反応は、酸化鉄 (Fe2O3) が還元されて鉄 (Fe) となり、一方でアルミニウム (Al) は酸化されて酸化アルミニウム (Al2O3) となる酸化還元反応であることがわかります。

この反応の進行は、鉄とアルミニウムの酸素に対する親和力の大小によって決定されます。

テルミット法について

また、アルミニウム粉の酸化によって発生する多量の熱と、その還元力を利用する冶金法をテルミット法、もしくはアルミノテルミット法、アルミニウム還元法、ゴールドシュミット法 (Goldschmidt法) といいます。このテルミット法は1893年にH・ゴールドシュミットによって発明されました。

テルミット法は、鉄以外にもマンガンやクロム、ニオブ、コバルト、バナジウムの製造にも利用されます。

 また、テルミットは複雑な設備を必要としないため、古くから鉄道のレールの溶接などに使用されてきました。このテルミットを利用した溶接をテルミット溶接といいます。また、焼夷弾にもテルミットは用いられていました。