化学徒の備忘録(かがろく)|化学系ブログ

理系の筆者が化学系の用語や論文、動画、ノウハウなどを紹介する化学ブログ

【錯体化学】遷移金属錯体のσ結合とπ結合

遷移金属錯体の結合 金属d軌道と配位子軌道の相互作用の結果、結合性、非結合性、反結合性の錯体分子軌道が形成される。一般に配位子軌道の方が金属結合より低いエネルギー準位にあるため、結合性軌道は配位子性が大きく、非結合性および反結合性軌道は金属…

【錯体化学】配位子場理論と6配位正八面体型錯体・平面正方型錯体・ヤーンテラー効果

配位子場理論 配位子場理論は錯体の電子構造の理論として知られているものであるが、もともとはイオン結晶に関する理論である結晶場理論を錯体系に適用したものである。 6配位正八面体型錯体 遷移金属の陽イオンの5つのd軌道は縮退している。そのため、5つの…

立体異性体(エナンチオマー・ジアステレオマー)とは

立体異性体とは 化合物の物理的な性質や反応性は、分子の立体的な形によって決まるものも多い。この記事では、この立体化学の概要について説明をする。 同じ分子式をもつ2つの構造があるときに、その2つの構造を重ね合わせることができる場合と、重ね合わせ…

「勉強と研究の違いを山登りに例えると」という話

この記事は、勉強と研究の違いを山登りに例えてみるという話です。特に、まだ研究活動に取り組んだ経験の無い人や、研究の経験が少ない人は、勉強と研究の違いのイメージが湧いていないのではないかと思います。そういった方の参考になれば幸いです。 まずは…

低速電子顕微鏡(LEEM)の解説

低速電子顕微鏡とは 低速電子顕微鏡はLEEM (Low Energy Electron Microscopy)ともいわれる。 透過型電子顕微鏡(TEM)は高速の電子を用いて観測する試料を透過して像を得る。一方で低速電子顕微鏡は、表面試料に数~数十 eV程度の低エネルギーの電子を照射する…

低速電子回折法(LEED)の解説

低速電子回折法とは 低速電子回折法はLEED (Low-Energy Electron Diffraction)ともいわれる。 この手法ではまず、10~200 eV程度の低速の電子線を試料に照射する。このとき、表面原子によって後方散乱を起こした電子を蛍光板に叩きつけることで、発光をカメラ…

【学振申請書】令和5年度(2023年度)DC1・DC2記入例

博士課程に進学を予定している学生であれば、日本学術振興会 特別研究員(DC1・DC2)(通称 学振、がくしん)の申請書を申請すると思います。 学振に絶対採択される方法は存在しませんが、採択される可能性を上げる方法はあります。それは、早めに申請書を書…

他大学・他分野から大学院に入学を考えている人に参考になる情報

他大学・他分野から大学院に入学を考えている人に向けて 理系の場合、大学で進級していくと4年次に研究室に配属されて、卒業研究を行い、卒業論文の提出や卒論発表を行って、学部を卒業する人が多いと思っています。その後の進路として、卒業研究を行った研…

【研究発表】質疑応答のチェックリスト・よくある質問

研究発表の質疑応答 大学で研究室に配属され、研究成果がまとまると、卒論発表(卒業論文発表)や修論発表(修士論文発表)、学会発表、就活の技術プレゼンテーションなどで研究発表を行うことになるケースが多いです。そして研究発表は発表の後に、質疑応答の時…

【研究発表】わかりやすい発表を行うために押さえるべきポイント(卒論発表・学会発表向け)

わかりやすい研究発表 大学で研究室に配属され、研究を進めると、卒業論文発表や修士論文発表会、学会発表、就活の技術プレゼンテーションなどのスライド資料を使った研究発表のプレゼンテーションを行う場合がよくあります。このとき、研究発表がわかりやす…