立体異性体とは
化合物の物理的な性質や反応性は、分子の立体的な形によって決まるものも多い。この記事では、この立体化学の概要について説明をする。
同じ分子式をもつ2つの構造があるときに、その2つの構造を重ね合わせることができる場合と、重ね合わせることができない場合がある。この重ね合わせができるものは同一物であるが、重ね合わせができないものは異性体といわれる。
重ね合わせることができない場合にもいくつかの種類がある。まず原子の繋がり方が違う場合である。例えば分子式がC2H6Oである分子としてエタノールとジメチルエーテルがある。
こういったエタノールとジメチルエーテルのように原子の繋がり方が違うものは構造異性体もしくは単に異性体といわれる。当然、構造が異なることで性質や反応性も異なる。
構造異性体ではない異性体を立体異性体という。つまり立体異性体は原子の繋がり方は同じだが重ね合わせることができないものである。
立体異性体はさらにエナンチオマーとジアステレオマーに分類することができる。エナンチオマーは互いに鏡像の関係であり、重ね合わせることができないものをいう。鏡像の関係とは鏡に映したように構造が異なるもので、右手と左手のような対称関係にものである。エナンチオマー以外の立体異性体をジアステレオマーという。