化学徒の備忘録(かがろく)|化学系ブログ

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低速電子顕微鏡(LEEM)の解説

低速電子顕微鏡とは

低速電子顕微鏡はLEEM (Low Energy Electron Microscopy)ともいわれる。

透過型電子顕微鏡(TEM)は高速の電子を用いて観測する試料を透過して像を得る。一方で低速電子顕微鏡は、表面試料に数~数十 eV程度の低エネルギーの電子を照射する。このとき、弾性散乱された電子を光学系を用いてマイクロチャンネルプレート (MCP)に拡大投影することで、局所的表面構造の違いにより、散乱強度に差が生じるため、回折、干渉コントラスト像が得られる。低速の電子を用いるため、再表面のステップや欠陥、粒界、転位が線や点となって確認することができる。

さらに、像の局所的なLEEDパターン (φ0.1 μ程度)が容易に得られるため、局所的な面方位や再構成表面を分析することができる。

特徴として、試料表面のステップの測定が比較的簡単に行うことができる。水平分解能は約2 nm程度である。ただし、TEMと比較すると、空間分解能は劣る。