わかりやすい研究発表
大学で研究室に配属され、研究を進めると、卒業論文発表や修士論文発表会、学会発表、就活の技術プレゼンテーションなどのスライド資料を使った研究発表のプレゼンテーションを行う場合がよくあります。このとき、研究発表がわかりやすいか、わかりにくいかによって聴衆からの評価が変わります。そして誰しもがわかりやすい研究発表をしたいと思っているのではないでしょうか?
この記事では、わかりやすい研究発表のスライドを作るうえで、押さえておきたいポイントについて解説します。
そのポイントとは「発表の"聴衆"と"場"を把握する」ことです。
わかりやすい研究発表の要素
そもそもわかりやすいとは、どういうことでしょうか。そのためには、わかりにくい研究発表を考えてみます。わかりにくい研究発表とは、発表者が伝えたい内容が様々な要因で伝わらない発表です。例えば、文字や図が見にくい、今どこの部分の話をしているのかわからない、論理の展開についていけないなどではないでしょうか。しかしながら、ほとんどの研究発表の聴衆は、ある程度の理解力をもっているため、上に挙げた部分は、解説を丁寧にしたり、文字や図を読み取る時間が長くなれば、解決すると考えられます。
つまり、ここではわかりやすい研究発表とは、聴衆が発表されている情報を認識するために必要な時間が短い研究発表と考えます。
発表の情報を認識するために短くする要素は以下の2つに分けられます。
- 伝えたい内容が一目でわかる
- その内容がすぐに理解できる
伝えたい内容が一目でわかるスライド資料とは、聴衆がスライドを見たときに、自然と目線が注目したい部分に向き、このスライドで伝えたいメッセージはこれだなということが判断できるスライドとなります。
その内容がすぐに理解できるスライド資料とは、聴衆がスライド資料に表示されている情報を読み取り、この内容について説明しているのだと、発表内容を理解できる状態です。
逆に、スライドを聴衆が見たときに、内容を読み取るために努力を強いるスライドがわかりにくいスライドです。
つまり、わかりやすいスライドかどうかを判断するのは聴衆ということになります。そのため、わかりやすいスライドを作るには、聴衆のことを考えながら作る必要があります。
研究発表を行う際の聴衆について、さらに深く解説していきます。
まず発表を聴く聴衆です。
聴衆
スライドを作る際に、その発表の聴衆は漠然と「学生」や「研究者」と把握するだけでなく、その特徴について詳しく考えておきましょう。以下に気をつけたい項目を挙げていきます。
年代や性別
聴衆の大勢がどんな年代や性別の方なのかを把握しておくことで、スライド資料に工夫を入れることができます。
例えば、聴衆の多くが年配の方なら、文字は大きめにする方が無難です。
また特に男性は20人に1人が先天色覚異常をもっており、赤と緑の見分けが付きにくい人がいるといわれています。男性に限った話ではないですが、気を配れるなら配色まで考えることもポイントです。
逆に女性が多いと、話の導入を化粧品の話からすると、より興味を持ってくれるなど想定ができます。
職種や専門領域
聴衆の前提知識は把握しておくといいでしょう。特に、自分の専門領域とは異なる分野や職種の人たちの前で発表する場合には、専門用語や専門知識の使い方に注意して、よりわかりやすい説明となるように全体を構成してスライド作成を行うといいでしょう。
聴衆の関心
年代や性別、職種や専門領域とも密接に関係しますが、聴衆がなにに興味をもっているかを想定しておくといいでしょう。
会場
聴衆がいる会場も把握しておきたいポイントです。
会場のスペース
会場の広さは、聴衆のスライドの見やすさに大きく影響を与えます。もし広い会場で発表を行うことがわかったなら、最後尾の聴衆でもスライドの内容が読み取れるように、文字の大きさや、図の大きさを大きくする必要があります。細かくいうなら、会場の照明の明るさも検討します。明るさによって、見えやすい色と見えにくい色があるからです。
最近では、オンラインでの研究発表も多くなりました。オンラインだと相手はパソコンの画面で発表を見るので、過度にフォントや図を大きくする必要はなくなります。だからといって、フォントや図を小さくしすぎないように気をつけましょう。
発表する自分の前後の発表者と発表内容
聴衆がどのような発表を聴いているのかを確認することもポイントです。就活の技術プレゼンテーションでは、前後の発表はわからないかもしれませんが、卒論発表や学会発表ではプログラムが決定して配布されているため、前後の発表の内容が要旨などからある程度わかります。
特に自分の前の発表次第では、自分の発表のわかりやすさや印象が変わる点も覚えておきたいです。