化学徒の備忘録(かがろく)|化学系ブログ

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分析濃度と平衡濃度

分析濃度と平衡濃度

分析濃度とは、溶解した物質の全濃度のことであり、C_{\rm X}と表される。よって、溶液中の物質のすべての化学種の濃度の和がC_{\rm X}となる。

平衡濃度は、溶解した物質のある一つの化学種の濃度でありXと表される。

分析濃度、平衡濃度はモル濃度で表されることが多く、それぞれ分析モル濃度、平衡モル濃度ともいう。

溶液を調製したときに、溶解した物質すべて、もしくは一部が解離する場合、溶液中の化学種の平衡濃度を考慮する必要がある。

例えば分析モル濃度が1 MのCaCl2溶液の場合、CaCl2が完全に電離するため、平衡状態では、平衡モル濃度はCaCl2は0 M、Ca2+は1 M、Cl-が2 Mとなる。

弱酸である酢酸は、濃度に依存して数%解離し、下の式のように、水素イオンと酢酸イオンとの平衡状態となり、濃度が低いほど解離度は大きくなる。

CH3COOH ⇄ H+ + CH3COO-

こういった溶液にて平衡定数などを計算する場合、平衡濃度 (平衡モル濃度) を用いる。