Tunable intraparticle frameworks for creating complex heterostructured nanoparticle libraries
Julie L. Fenton, Benjamin C. Steimle, Raymond E. Schaak
Science 04 May 2018:Vol. 360, Issue 6388, pp. 513-517
DOI: 10.1126/science.aar5597
ナノ粒子の合成は最近も盛んに研究がされていますね。
ナノ粒子はバルクと異なる性質を示すことから、今後も応用が期待されていますが、そんな分野に関する論文がScience誌に掲載されました。
ヘテロ構造ナノ粒子の合成という点がこの報告の素晴らしいところでしょう。著者らは次のように書いていますね。
However, for multicomponent nanostructures, each distinct combination of materials generally requires a “tour de force” synthetic effort.
引用元:Science 04 May 2018:Vol. 360, Issue 6388, pp. 513-517
多成分なナノ粒子の合成は離れ業といわれるような、ものすごい努力が必要であるということです。単一なナノ粒子でも形状等を制御するとなると、試薬の種類や量の調整が必要になる場合が多いですが、ましてやそれが多成分となると、如何に厳密な調整や論理的なアイデアが必要かということは、想像に難くないですね。
今回の報告での手法はまず、単純な構造のナノ粒子を作製した後に、そこに接合できるように調製を行い、複雑なナノ粒子を合成していくということのようです。デカルトの"困難は分割せよ"という言葉がありますが、まさにその言葉通りのアプローチではないでしょうか。
例えば分子模型もボールとスティック(棒)を先に用意して、それで複雑な分子の模型を作っていくことはよくありますが、それと同じイメージでしょうか。
そしてこの報告で際立つところは、このアイデアもさることながら、47種類のヘテロ構造ナノ粒子を合成しているという点だと思います。この47種類ものライブラリを生み出したことがScienceに掲載された大きな理由だと思います。
アイデアはシンプルそうですが、実際に実現していくには多大な努力があったと思います。こういうアイデアを実現できるのはすごいですね。