化学徒の備忘録

化学系の用語や記事や論文をわかりやすく紹介します

カーボンナノチューブ・無機ナノチューブ・有機ナノチューブについて

ナノチューブとは

ナノチューブは直径1~100 nmサイズのチャネル構造を有し、低次元性高軸比を特徴とする筒状分子や分子集合体である。

ナノチューブは構成成分によって、無機ナノチューブ、カーボンナノチューブ、有機ナノチューブの3種類に分けることができる。

無機ナノチューブについて

無機ナノチューブは金属酸化物などの無機物質によって構成されているナノチューブである。酸化バナジウムや酸化マンガンなどの金属酸化物類や硫化タングステン、窒化ホウ素などが報告されている。

無機ナノチューブは金属イオンがチューブの壁に位置していることから酸化還元触媒や電極材料への応用が期待されている。

カーボンナノチューブについて

カーボンナノチューブ(Carbon Nanotube, CNT)はグラフェンシートをある軸に沿って巻き上げた筒状ナノカーボンである。

カーボンナノチューブは壁の構造によって、壁が単層のシングルウォールナノチューブと多層構造をもつマルチウォールナノチューブに分類することができる。

対象性の観点からはジグザグ型、キラル型、アームチェア型に分類することができる。この対象性はナノチューブの導電性を左右する。

カーボンナノチューブはほとんどの溶媒に溶けない。そのためクロマトグラフィーなどを用いて対称性の異なるカーボンナノチューブを単離することは難しい。

カーボンナノチューブの作製方法は炭素電極間のアーク放電、炭素ターゲットのレーザー蒸発、炭化水素ガスの熱分解などがある。

有機ナノチューブについて

有機ナノチューブは、有機小分子や高分子をビルディングブロックとして用いて、自己組織化によって合成された超分子ナノチューブである。

有機ナノチューブの構成ユニットの構造的な特徴として、両親媒性がある。

平面状π共役系両親媒性分子は、有機溶媒中において自己組織化しナノチューブを形成することが報告されている。

例えばリン脂質の水溶液を冷却した場合、直径500 nmのナノチューブが生成されるものがある。糖脂質の水溶液を冷却した場合、直径が8~10 nmのナノチューブが合成されることがある。また、ペプチド鎖をもつ両親媒性分子は直径が約40 nmのナノチューブを形成する場合がある。

両親媒性高分子の場合は、ロッド-コイル型ブロックポリマーやコイル-コイル型ブロックポリマーが、数十 nmの直径のナノチューブを形成する例が報告されている。