この記事の参考にしている内容は暗殺教室などの作者として知られている松井先生の漫画の攻撃力と防御力の記事です。SNSなどでも拡散されたため知っている人も多いと思います。
この記事を読んだときに、これは漫画だけではなく、学振などの申請書やジャーナルへの投稿論文にも当てはまる内容だと感じました。そこでこの記事では、申請書や投稿論文の攻撃力と防御力についての考えを示しています。また元の漫画の攻撃力と防御力の記事も大変参考になるので、一読することをオススメします。
結論は申請書もまずは防御力が大切という話なのですが、最後まで読んでいただけると嬉しいです。
申請書の採択者側から見たメリットとデメリット
いきなりですが、どういった申請書が採択されるのでしょうか。ここではあえて、採択される申請書とはどんな申請書でしょうか。申請書が採択されると、お金が支給されます。そこで、松井先生に倣って、ここでは下の図のようにお金を給付する側から見たときのメリットとデメリットの差を考えると、メリットとデメリットの差が大きい申請書が採択されると考えることができるのではないでしょうか。
そしてメリットとは、例えば、その研究の意義や研究の独創性、研究結果による社会や科学へのインパクト、採択する研究者の能力として加算されていきます。
表現はよくないですがデメリットとしては、支給するお金となります。様々な研究費や生活を補助するお金の支給金額が変化する場合には、この必要なお金の高さが変動していくと考えることができます。
申請書の防御力と攻撃力
さて、松井先生の言葉で
防御力を上げれば、勝率も上がる
というコメントがあります。申請書において攻撃力とはメリットの高さを上に押し上げるもの、防御力とはメリットの高さを下に押し下げる足を引っ張る要素と捉えることができるはずです。
申請書の攻撃力
まず、申請書の攻撃力は具体的には新規性、独創的なアイデア、画期的なアイデア、突出した個人の技術や能力などが挙げられます。しかしながらこれらは、センスやひらめき、運などによって大きく左右されるものです。
もちろん、時間をかけて申請書に向き合い、先輩や指導教員からコメントをいただくことで、アイデアは洗練されていくことでしょう。そういった点では攻撃力を高めることも決して大事ではないというわけではありません。
こちらも運に左右される内容ですが、主著の査読付き論文がある場合は、自分の研究能力の根拠となり、ここでいう攻撃力を高めることに繋がるといえるでしょう。査読付き論文や学会賞の受賞経験など、攻撃力を高める要素がある場合は、しっかり攻撃力を高めるといいと思います。
申請書の防御力
次に申請書の防御力を考えます。申請書を審査するにあたって、当然、審査員が存在します。つまり申請書の防御力とは、審査員が減点評価をしないように工夫することということができます。
防御力とは具体的には、誤字や脱字がない、大筋を理解するのが容易、要点がまとまっている、注目するべきポイントがわかりやすいなどいってみれば申請書の粗がないようにすることだといえると思います。そして申請書の攻撃力と違って重要な点は基本的に申請書を作成するための技術であるという点です。これは運やセンスが大きく左右する攻撃力とは異なり、だれでも習得ができるということになります。さらに先輩や指導教員の申請書などを見ることで、技術はいくらでも盗むことができます。そのまま要素を模倣してもいいですし、マンガと同じく、逆に欠点だと思った部分は反面教師とすることで技術が習得できます。
松井先生は
防御力は気遣い
とまとめていますが、これは申請書でも同じでしょう。審査員の負担を減らす気遣いこそが防御力の根幹にはあると思います。
そして、まずは申請書の防御力を固めたうえで、アイデアやセンス、考察を深め、採択される申請書を作成できることを、応援しています。