卒業論文や修士論文は、論文であるため、研究背景やイントロダクション(導入)や実験手法などの説明には参考文献を引用することで、自分の手法の科学的な信頼性や、自分の論文の新規性などを説明していきます。
このとき、各章の最後、もしくは論文の最後に参考文献リストを掲載する場合が一般的です。また、参考文献の書き方は論文中で統一されていることを求められる場合が一般的です。
一般的に、ジャーナル、学会誌に論文を投稿する場合には、そのジャーナルの規定の参考文献のフォーマットに合わせます。
しかしながら、卒業論文、もしくは修士論文中では、参考文献のフォーマットが統一されていれば、どのフォーマットを使っても構わないと自由になっているケースを耳にします。そこで、この記事では、いくつかの化学系のジャーナルの参考文献のフォーマットを比較して、どのフォーマットが卒業論文、修士論文に向いていそうかを検討しています。
ここでは理想的なフォーマットを以下の条件にあてはまるものと定義します。
・参考文献リストを見れば、もとの文献を調べることができる(情報を減らしすぎない)
・参考文献リストが長くなりすぎない(ページ数や印刷枚数が多くなりすぎないようにしたい)
※ここでは、Wordで記入した文章にZoteroを使って、各ジャーナルの規定の参考文献リストを自動で作成しています。
- Natureのフォーマット
- Scienceのフォーマット
- American chemical societyのフォーマット
- Angewandte Chemie - International Editionのフォーマット
- Royal Society of Chemistryのフォーマット
- The Chemical Society of Japanのフォーマット
- まとめ
Natureのフォーマット
言わずと知れた姉妹紙も多いNatureのフォーマットです。参考文献リストに論文のタイトルを書くことが1つの特徴です。ただ、このフォーマットは行間が広いため、参考文献リストが長くなってしまいます。
Scienceのフォーマット
こちらも言わずと知れたScienceのフォーマットです。Scienceも論文のタイトルを記入するようになっています。Natureと比較して行間は狭くなっているので、ページの長さが短くなっています。また、Scienceは本文中の参考文献を( 1 )のように()で囲みますが、これより上付きのほうが見慣れてると思う人もいるかもしれません。
American chemical societyのフォーマット
American chemical societyも化学では有名ではないでしょうか。このフォーマットでは論文のタイトル以外にdoiが記載されている点が特徴的です。しかしながら、doiまではわざわざ記入する必要がない、文献リストが長くなりすぎると思う人もいるのではないでしょうか。
Angewandte Chemie - International Editionのフォーマット
論文のタイトルが含まれておらず、短くまとまっています。参考文献を上付きの [ ]で表してる点が特徴的です。ここは好みの領域になると思います。
Royal Society of Chemistryのフォーマット
こちらは歴史あるroyal society of chemistryのフォーマットです。参考文献リスト中にタイトルが含まれておらず、短くまとまっています。参考文献の番号に括弧がついていないことも特徴です。
The Chemical Society of Japanのフォーマット
日本化学会のフォーマットです。論文のタイトルが含まれておらず、短くまとまっていることが特徴です。また論文のページを最初のみ記載するフォーマットになっている点も特徴です。決して悪いわけではないですが、最初のページのみという点はいささか省略しすぎな気もします。
まとめ
最初の定義に照らし合わせて、論文のフォーマットを見ていくと、
・一番短いのはThe Chemical Society of Japanのフォーマット、
・ページを最後まで書いて短くするならRoyal Society of ChemistryかAngewandte Chemie - International Editionのフォーマット
・論文のタイトルを含めたいならScienceのフォーマット
といった具合ではないでしょうか。
情報を削りすぎず、短くまとめると考えるとRoyal Society of ChemistryかAngewandte Chemie - International Editionのフォーマットが無難ではないでしょうか。
みなさんの研究室の事情があれば、遠慮せずコメントに書いてください。