化学徒の備忘録

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水のイオン解離と水のイオン積とpH

水のイオン解離と水のイオン積

水溶液の溶媒としての水は、水自身が次の式の反応によって水素イオン(H+)もしくはオキソニウムイオン(H3O+)と水酸化物イオン(OH-)とにわずかに解離している。

H2O + H2O ⇄ H3O+ + OH-

 この反応は右方向と左方向の反応が同時に進み、見かけ上は反応が停止しているように見える動的平衡状態となっている。

すべての化学反応は原系から生成系に向かって起こっている場合、充分に時間がたつとその化学反応の進行が見かけ上停止する。この状態を化学平衡状態という。このとき化学反応式の右辺と左辺の量論関係を正しく記述し、その平衡定数を正しく記述するとその値は一定となる。

水の解離の反応式を平衡定数について表すと次のようになる。

 \displaystyle \frac{[ \rm H_3 O^+ ] [ OH^- ]  }{ [ \rm H_2O  ] ^2  } = 定数

水素イオン(H+)もしくはオキソニウムイオン(H3O+)の濃度と水酸化物イオン(OH-)の濃度の積を水のイオン積といい水のイオン積をK_wとすると、水のイオン積を使って上の式は次のようにも書くことができる。

 \displaystyle [ \rm H_3 O^+ ] [ OH^- ] = 定数 \times  [ \rm H_2O  ] ^2 =\it K_w

またH3O+はH+とも表すため、上の式は簡単にすると次のように書ける。

 \displaystyle  [ \rm H^+ ] [ \rm OH^- ] = \it K_w

  K_w = 1.0 \times 10^{-14},  25 \rm ^\circ C

純水では存在するイオンは水素イオン(H+)もしくはオキソニウムイオン(H3O+)と水酸化物イオン(OH-)のみである。また水素イオン(H+)と水酸化物イオン(OH-)は同数だけ存在している。 

これを式で表すと次のようになる。

 \displaystyle  [ \rm H^+ ] = [ \rm OH^- ] 

そこで、

 \displaystyle  [ \rm H^+ ] [ \rm OH^- ] = [ \rm H^+ ] ^2 =1.0 \times 10^{-14}

より

 \displaystyle  [ \rm H^+ ] = 1.0 \times 10^{-7} ( \rm M)

となる。

また水素イオン濃度はそのままの数値ではなく対数に変換してpHで表すことが多い。

 \rm pH =  - \log [ H ^+ ] = \log \frac{1}{[ H ^+ ] }

 \displaystyle  [ \rm H^+ ] = 1.0 \times 10^{-7} ( \rm M) であるため純水のpHは7となる。

水のイオン積を用いた計算

水に塩酸や硫酸、アンモニア、水酸化ナトリウムなどを溶かすと、溶液中に新たに水素イオン(H+)もしくはオキソニウムイオン(H3O+)や水酸化物イオン(OH-)が生じる。

しかし、H+やOH-が増減しても、この \displaystyle  [ \rm H^+ ] [ \rm OH^- ] = \it K_w という化学平衡式は成り立つ。

例えば、25 ℃の条件下の純水に塩酸を少量加え、 \displaystyle  [ \rm H^+ ] = 1.0 \times 10^{-4} ( \rm M) であるとする。この時、水酸化物イオン(OH-)の濃度は

 \displaystyle  [ \rm H^+ ] [ \rm OH^- ] = \it K_w = \rm 1.0 \times 10^{-14} ( \rm M)

より、

 \displaystyle  [ \rm OH^- ] = 1.0 \times 10^{-10} ( \rm M)

と求めることができる。