化学徒の備忘録(かがろく)|化学系ブログ

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X線回折法(XRD法)

X線回折法 (XRD法)

X線回折法 (X-ray diffraction法、XRD法) とは結晶や粉末にX線を照射し、そこで起きるX線の回折像やパターンを解析することで、結晶の原子の配列や分子の構造を調べる方法である。

結晶や分子にX線を照射すると、X線は結晶を構成する原子内の電子によって弾性散乱される。この散乱されたX線の強度は、X線の干渉によってブラッグの条件を満たす場合に、強度が強くなる。

ブラッグの条件とは、結晶にX線が入射したときに、格子面間隔をd、X線の波長を\lambda、X線が結晶に入射する角度である視射角を\theta、整数をnとすると、次の式で示されるブラッグの条件を満たしたときのみブラッグ反射が起こるというものである。

2d \sin \theta = n \lambda

よってX線を照射すると、結晶の格子の間隔に依存して、特定の角度に強いX線の回折が観測されることとなる。この反射したX線の回折強度や角度から結晶の構造などの情報を得ることができる。

XRDによる同定と構造決定

試料の物質の構造がある程度予想できる場合、既知物質のX線回折パターンと試料を測定して得られるX線回折パターンを比較することで、試料を同定することができる。

元素組成が明らかである単結晶を試料とし、X線回折測定を行うと、そのX線回折パターンから構造決定を行うことが可能である。

また、元素の組成が同じ物質であっても、結晶構造が異なる物質はX線回折測定によって区別することができる。例えば、酸化チタン (TiO2) はアナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型といった結晶構造があるが、X線回折測定によって、これらを区別することができる。

X線回折法、その回折法の原理が結晶の規則性を用いているため、無秩序な試料や非晶質 (アモルファス) な試料の情報はあまり得られない。