化学徒の備忘録(かがろく)|化学系ブログ

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超酸とハメットの酸性度関数について

超酸について

超酸(super acid)とは、純粋な硫酸よりも強い酸性の溶液のことをいう。

水溶液系では、酸性度を表す尺度としてpHが使われるが、超酸のような非水溶媒の酸性度はpH以外の方法で酸性度を表す。なぜなら、pHは0~14の範囲で意味をもつが、超酸は非水溶媒であるため、pHが負の領域の酸性度に相当するからである。

ハメットの酸性度関数について

水素イオン濃度とpHは酸の希薄溶液でのみ意味がある、水以外の溶媒や濃厚溶液での酸性度はハメットの酸度関数で測る。

また、超酸の酸性度は、ハメットの酸性度関数(Hammett acidity function)\displaystyle H_0を測定することによって見積もられる。

これによって1つの非水溶媒中での種々の酸、または種々の溶媒中での、一つの酸の酸性度を比較することが可能になる。

 ハメットの酸性度関数\displaystyle H_0は次のように定義される。

\displaystyle H_0 = {\rm p} K_{\rm BH^+} - \rm log \frac{[BH^+]}{[B]}

\displaystyle H_0が負の絶対値の大きい値であるほど強い酸である。一般的に\displaystyle H_0が6以上のものを超強酸という。

\displaystyle H_0を求める超酸に対して、きわめて弱い塩基性の指示薬Bを加えることで求められる。ここで、 K_{\rm BH^+}は酸BH+の熱力学的解離定数であり、活量aを用いて次のように求められる。

\displaystyle K_{\rm BH^+} = \frac{a_{\rm H^+} a_{\rm B}}{a_{\rm BH^+}}

\displaystyle \frac{[\rm BH^+]}{[\rm B]}の値は吸収スペクトル測定によって決定することができる。そのため、負の {\rm p} K_{\rm BH^+}の値をもつ指示薬を使うことにより、\displaystyle H_0の値を大きな負の領域に拡張することができる。例えば、p-ニトロトルエン( {\rm p}K_{\rm BH^+} = -11.4)、2,4-ジニトロトルエン( {\rm p}K_{\rm BH^+} = -13.8)、1,3,5-トリニトロベンゼン( {\rm p}K_{\rm BH^+} = -16.0)などが指示薬として用いられる。

超酸を利用することで、安定な炭素陽イオン種を生成させるなどの応用方法がある。