化学徒の備忘録(かがろく)|化学系ブログ

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ホール効果とホール係数 (ホール定数)

ホール効果

電流の流れている物質に磁束密度Bの磁場中においたとき、荷電粒子がローレンツ力を受けることで、電流Iと磁束密度Bのどちらにも直交する方向に電場が生じる効果をホール効果という。

生じる電場Vは、金属片の磁場方向の厚さをdとすると、ホール係数をRとすると、次のように表すことができる。

 \displaystyle V = R \frac{IB}{d}

このとき生じる電位差をホール電圧という。

ホール係数 (ホール定数)

ホール係数 (ホール定数) は金属の種類や温度に依存して、異なる値となる。また、ホール係数Rは、単位体積中の伝導電子数nと電子の電荷e、散乱係数\gammaによって、次のように表される。

 \displaystyle R = \frac{\gamma}{ne}

散乱係数\gammaは高純度のSiやGeのような半導体では\frac{3 \pi}{8}、金属や金属間化合物では1となる。 

また、ホール係数はキャリアの符号と密度による。金属の場合、キャリアは電子であるが、半導体の場合にはキャリアが電子の場合と正孔の場合の両方が存在する。

そのため、キャリアが電子であるn型半導体ではR \lt 0である。一方、p型半導体などでキャリアが正孔である場合はR \gt 0となる。