マイスナー効果について
1933年にマイスナー(Meissner)とオクセンフェルト(Ochsenfeld)は転移温度以下の磁場中ある超伝導体周辺の磁束分布を測定し、超伝導体内の磁束密度が常に0であることを発見した。超伝導体では、外部磁場が存在している環境でも、磁束密度が0になる効果をマイスナー効果もしくはマイスナー-オクセンフェルト効果という。
超伝導体の内部の磁束密度は、印加されている外部磁場を、磁化をとすると次のように表される。
これは超伝導体の完全反磁性という性質である。
超伝導体のゼロ磁場冷却と磁場中冷却
ゼロ磁場状態で、超伝導体を転移温度以下まで冷却した後、弱い磁場を印加すると、超伝導体表面に超伝導電流がその内部の磁束密度を0に保つ向きに誘起される。しかし磁場を0にすると、電流も消失し元の状態に戻る。これをゼロ磁場冷却という。
温度が転移温度以上で磁場下に超伝導体をおき、冷却していくと転移温度に達したときに超伝導体表面に超伝導電流がその内部の磁束密度を0に保つ向きに誘起される。また磁場を0にすると、電流も消失する。これを磁場中冷却という。
完全導体のゼロ磁場冷却と磁場中冷却
一方で電気抵抗が0の物質、完全導体(完全電気伝導体)を仮定し、磁場下での振る舞いについて考える。
ゼロ磁場状態で、完全導体の温度を転移温度以下まで冷却した後、外部磁場を加える。すると、レンツ(Lenz)の法則に従って、磁場を印加する前の物体内の磁束密度()を保つ向きに抵抗のない電流が物体表面に誘起される。
その後磁場を減らしていくと、それに従って表面を流れる電流も小さくなり、外部磁場を0にすると、となり最初の状態に戻る。
最初に磁場を印加した状態で完全導体を転移温度以下に冷却すると、抵抗は0になるが、物体内の磁束には変化は起きない。
この状態で磁場を0にすると磁束密度は変化できず、これを維持するように0抵抗の電流が前の電流とは逆向きに生じる。そのため、完全導体は一種の磁石のようになる。
これが超伝導体と完全導体の違いとなる。