超伝導体と臨界磁場について
超伝導状態が実現するためには、温度が転移温度以下である必要があるが、外部磁場にも条件がある。
超伝導体に外部磁場をかける場合を考える。
超伝導体にかける外部磁場を強くしていくと、ある臨界値以上では超伝導状態が破壊され、常伝導状態となる。この臨界値は物質に固有の値であり、これを臨界磁場という。逆に転移温度以下で外部磁場を臨界磁場以下にすると超伝導状態が現れる。
この臨界磁場は絶対零度における臨界磁場をとすると、経験的に下のような温度の2次関数で近似される。
第I種超伝導体では、絶対零度における臨界磁場をは数百Oe程度である。この経験則は臨界磁場のパラボリック則ともいわれる。
横軸に温度、縦軸に磁場をとった第I種超伝導体の典型的な相図は下のようになる。
Josephson効果
薄い絶縁体で隔てられた2つの超伝導体の間には、外部電圧が印加されていなくても、超伝導電流が生じる。これを直流Josephson効果という。
また電圧が印加されている場合、を電気素量、をプランク定数とすると次に示す周波数をもつ交番超伝導電流が生じる。
これを交流Josephson効果という。
超伝導体と相転移について
超伝導体はマイスナー効果を示す。このことは、超伝導状態が、完全導体の場合とは異なり、温度を下げてから磁場を印加した場合と磁場を印加してから温度を下げた場合で同じ状態となり、その過程とは関係がないことを示している。そのため、超伝導状態が熱力学でいう一つの相であることを意味し、超伝導状態と常伝導状態の移り変わりは相転移と捉えることができる。