マヨラナ粒子とは
マヨラナ粒子とは電荷をもたない中性のスピンが1/2の粒子の中で、粒子がその粒子自身の反粒子となっている粒子のことである。マヨラナフェルミオン (Majorana fermion) ともいう。
1937年にイタリアのE. Majoranaによって提案されたものである。
ニュートリノが素粒子としてのマヨラナ粒子であるかどうかは、検証が進められている。
一方でトポロジカル超伝導体などの特定の物体中の準粒子がマヨラナ粒子と見なせる量子現象を示すことが報告されている。
準粒子とは、振動や波動などがある系の中で量子化され、一粒子のように振る舞うもののことである。フォノンやマグノン、プラズモンなどが準粒子として知られている。
マヨラナ粒子と超伝導体
固体中では正孔は、電子と質量が同じで家電などが逆である反粒子としてみなせる。
正孔を一個生成するということは、粒子を一個消滅させるということと同じである。そのため、マヨラナ粒子が存在する場合、その生成演算子と消滅演算子
は次の関係を満たす。
これは固体中でのマヨラナ条件といわれる。
BCS超伝導体中の準粒子は電子-正孔対称性をもつボゴリューボフ準粒子である。ボゴリューボフ準粒子はボゴリューボフ-ドゥジャンヌ方程式(BdG方程式)で記述され、電子-正孔対称性という特徴的な対称性をもっている。
このBCS超伝導体中の準粒子の消滅演算子は次のように表される。
ここで、と
は
を満たす複素数の係数である。また、
はアップスピンをもつ電子の実空間表示の消滅演算子である。
この消滅演算子に対応する生成演算子は次のように表される。
この消滅演算子と生成演算子は等しくないため、マヨラナ条件を満たなさい。
超伝導中でスピンの自由度がなくなっており、ペアリングが同じスピン同士で起こり、さらにとなり、ボゴリューボフ準粒子が
の形で表されるとき、
のマヨラナ条件を満たす。このとき準粒子はマヨラナ粒子として振る舞う。
このようなマヨラナ条件を満たすボゴリューボフ準粒子が現れる超伝導体は、トポロジカルに非自明となっている。
ただし、この逆は成り立たないため、トポロジカル超伝導体であれば、必ずマヨラナ粒子が現れるわけではない。