化学徒の備忘録(かがろく)|化学系ブログ

理系の筆者が化学系の用語や論文、動画、ノウハウなどを紹介する化学ブログ

放射光・シンクロトロン放射光と挿入光源(ウィグラー・アンジュレーター)

放射光とは 放射光とは、光速近くまで加速された非常に高いエネルギーをもった電子の軌道を電磁石によって曲げた際に、軌道の接線方向に放射される電磁波のことである。この電磁波は電子シンクロトロンで初めて観測されたため、シンクロトロン放射光ともよば…

合金触媒のリガンド効果とアンサンブル効果

単一の金属を担体に乗せた金属/担体触媒では、触媒性能を追求しても限界に達する場合が多い。そこで、金属を単一の金属から複数の金属の合金にすることで触媒性能を向上しようとする方法がある。 このような合金触媒作用に対する金属原子間の複合効果を説明…

光学顕微鏡・分解能と顕微鏡の種類(一般顕微鏡・実体顕微鏡・蛍光顕微鏡・偏光顕微鏡)

光学顕微鏡とは 人間が見ることのできる光は可視光といわれ、その波長は380 nm~780 nmの範囲である。光源としてこの可視光を用いる顕微鏡を光学顕微鏡という。 また、人が識別可能な二点間の最小距離は75 μm程度といわれる。これは髪の毛の太さ程度であり、…

モール法(Mohr法):塩化物イオンの定量法について

塩化物イオン測定法 例えば、水道水は塩素殺菌されている場合が多い。こういった水道水は多くの塩化物イオンを含むことがある。 このような溶液に含まれる塩化物イオンを測定する方法として、塩化物イオンが銀イオンと難溶性の沈殿を生成することを利用する…

タンパク質のN末端アミノ酸決定法 (サンガー法・ダンシル法・エドマン法)

タンパク質のN末端アミノ酸決定法 タンパク質のN末端アミノ酸を決定する方法として、サンガー (Sanger) 法、ダンシル (Dansyl) 法、エドマン (Edman) 法がある。 歴史的には、サンガー法、ダンシル法、エドマン法の順に改良されてきた。 サンガー法 (Sanger…

変旋光とD-グルコースの旋光度変化について

変旋光とは 旋光性物質の溶液の旋光度が時間とともに変化する現象を変旋光という。 糖類やオキシ酸などの溶液は、放置したり、煮沸や酸、塩基を加えると、時間とともに旋光度が変化し、その後平衡に達する。 変旋光の原因は異性化であり、旋光度が時間ととも…

生元素(主要生元素・準主要生元素・微量生元素)の解説

生元素とは 生元素、生体元素とは、生物の生命維持に必須な元素のことである。また、地球表面で生物圏に集まったと考えられる元素は親生元素ということもある。 生元素はさらに、主要生元素、準主要生元素、微量生元素の3種類に分類される。 また主要生元素…

フロイントリッヒ (Freundlich) の吸着等温式の解説

Freundlich式について Freundlich式 (Freundlichの吸着等温式、フロイントリッヒの吸着等温式) は吸着平衡を表す経験式の一つである。 吸着剤重量あたりの平衡吸着量を、吸着物質の流体相における濃度もしくは分圧をとすると、温度一定の条件で、次の関係で…

ガスクロマトグラフィー (GC)とカラム・検出器 (TCD・FID・FPD・ECD) について

ガスクロマトグラフィーとは 移動相に気体 (キャリアーガス) を用いるカラムクロマトグラフィーをガスクロマトグラフィー (GC) という。 ガスクロマトグラフィーは、一定流量のキャリアーガス流中に試料を注入し、注入された試料成分は気化してカラムに運ば…

TLC等のRf値・移動率・移動比・移動度の解説

Rf値・移動率・移動比・移動度とは Rf値とは、薄層クロマトグラフィー (TLC) やペーパークロマトグラフィーなどの平面クロマトグラフィーで、試料が展開液によって固定相内で移動する割合のことです。 Rf値は移動率や移動比、移動度ともいいます。この、Rf値…