変旋光とは
旋光性物質の溶液の旋光度が時間とともに変化する現象を変旋光という。
糖類やオキシ酸などの溶液は、放置したり、煮沸や酸、塩基を加えると、時間とともに旋光度が変化し、その後平衡に達する。
変旋光の原因は異性化であり、旋光度が時間とともに変化しても、その原因がラセミ化や化学変化による場合は、変旋光とはいわない。
D-グルコースの例
例えば、-D-グルコース結晶の比旋光度は+112.2 ° 、
-D-グルコース結晶の比旋光度は+18.7 ° である。結晶をそれぞれ水に溶かし、しばらく置くと
-D-グルコース結晶を溶かした水溶液の比旋光度は徐々に小さくなり、+52 ° 程度となる。また、
-D-グルコース結晶を溶かした水溶液の比旋光度は徐々に大きくなり、+52 ° 程度となる。
これは、水溶液中ではD-グルコースは閉環型の[tex\alpha]-D-グルコースが直鎖型のD-グルコースを介して閉環型の-D-グルコースに変換し、
形と
形が平衡に達することで、水溶液中に直接型と
型と
型の3種類が混在した状態となるためである。
形と
形のD-グルコースの存在度について
+52.7 ° であるD-グルコースの水溶液中の存在する
形と
形の割合(%)を考える。
D-グルコースの形の水溶液は
+112.2 ° を示す。
D-グルコースの 形の水溶液は
+18.7 ° を示す。
の割合を
、
の割合を
とすると、次のように立式できる。
これを解くと、
となる。
よって、形は36.4 %、
形は63.6 %である。