化学徒の備忘録(かがろく)|化学系ブログ

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希釈と計算式・希釈度・希釈熱

希釈とは

溶液に純溶媒を加えて濃度を薄める操作を希釈という。

純溶媒と溶質を混合することを溶解というが、希釈も混合の一種であるといえる。

希釈するために、採取する元の溶液 (濃い溶液) からとる物質量と希釈溶液中の物質量は等しくなる。そのため、元の溶液 (濃い溶液) の濃度をC_1、元の溶液 (濃い溶液) から採取する体積をV_1、希釈溶液の濃度をC_2、希釈溶液の体積をV_2とすると次の関係が成り立つ。

C_1 V_1 = C_2 V_2

希釈度とは

溶液の濃度が希釈で薄められる程度を希釈度という。

溶質1モルが含まれる溶液のリットル数で表され、濃度の逆数と等しくなる。

濃度がn mol dm-3 溶液の希釈度はn-1となる。

希釈熱とは

希釈の際に吸収もしくは発生する熱量を希釈熱もしくは希釈エンタルピーという。

希釈熱は溶媒・溶質分子間の相互作用のエネルギーに起因する混合熱の一種である。

希釈熱の大きさはその溶液の濃度と関係し、溶質濃度が小さいほど小さくなる。

また、2つの液体を混合したとき、全容積や内部エネルギーが混合の前後で変わらない理想溶液では、希釈熱は0になる。これは、理想溶液では溶質分子の相互作用を引き離すために必要な仕事がなくなるからである。また、近似的には希薄溶液が理想溶液としてふるまい、希薄溶液では希釈熱は非常に小さくなる。

希釈熱の表現方法には、積分希釈熱と微分希釈熱がある。

積分希釈熱は、1 mol の溶質を含むある濃度の溶液に、溶媒を加えて別の濃度に薄めるときに出入りする全熱量である。

微分希釈熱は、一定濃度の大量の溶液に溶媒1 mol を加えたときに出入りする熱量である。