化学徒の備忘録(かがろく)|化学系ブログ

理系の筆者が化学系の用語や論文、動画、ノウハウなどを紹介する化学ブログ

共役二重結合:二重結合が単結合を挟むことで構成されている結合系

共役二重結合 2つ以上の二重結合が単結合を挟むことで構成されている結合系を共役二重結合という。 二重結合はσ結合とπ結合から構成されている。しかし、π結合を形成しているπ電子は非局在性 (易動性)をもっており、σ結合のみであった単結合の間でもπ結合を…

酸解離定数KaとpKa・塩基解離定数KbとpKb

酸解離定数KaとpKa 酸の解離反応の平衡定数を酸解離定数という。 弱酸 (HA) の解離を次のように表す。 各濃度をで表すとき、酸解離定数は次の式で求めることができる。 この酸解離定数の値が小さい酸ほど弱酸である。 また酸解離定数の対数にマイナスをつけ…

有機物の単結合・二重結合・三重結合と結合の強さ・結合距離

有機物の共有結合 単結合 二重結合 三重結合 単結合、二重結合、三重結合と結合の強さ 単結合、二重結合、三重結合と結合距離 有機物の共有結合 有機物を構成する結合は、ほとんどが共有結合である。 共有結合とは、結合する2つの原子が、互いに1つずつ電子…

実格子空間と逆格子空間

実格子空間と逆格子空間 実際の位置ベクトルを座標とする空間を実空間という。特に、結晶のような周期的な繰り返しがある実空間を実格子空間という。 これに対して波数ベクトルを座標とし、実格子空間の周期性が反映された空間を逆格子空間という。また、単…

逆格子・逆格子の基本ベクトルの定義と関係

逆格子 結晶の実空間の空間格子と正規直交の関係にある別の格子を逆格子という。 逆格子ベクトルは結晶の格子面に垂直な方向をもち、その面間隔の逆数の大きさをもつベクトルである。 実空間の基本ベクトルを、、とするとき、逆格子の基本ベクトル、、との間…

ヤーン・テラー効果とレナー・テラー効果

ヤーン・テラー効果 (Jahn-Teller effect) ヤーン・テラー効果 (ヤーンテラー効果、Jahn-Teller effect) とは、非直線性多原子分子や固体内の原子団において、原子配列が正多角形や正多面体などの高い対象性をもつ場合に、電子状態が縮退することがあるが、…

アンダーソン局在とアンダーソン転移

アンダーソン局在 結晶内のような周期的なポテンシャル中を運動する電子は結晶全体に広がって運動し、電子の波動関数は全空間に広がったブロッホ波になる。 しかし、不純物などによって結晶の周期性が乱れ、ポテンシャルの不規則性が高くなると、散乱された…

光電効果・内部光電効果と外部光電効果

光電効果 光電効果とは、物質に光が当たったときに、光のエネルギーが消費され、電子が放出される現象である。このとき、物質の外部に飛び出した電子は光電子といわれる。また、気体の原子や分子などから光電子が放出されイオンになる過程を光イオン化という…

ディラック粒子:ディラック方程式に従うスピン1/2のフェルミ粒子

ディラック粒子 ディラック方程式に従う粒子をディラック粒子という。 スピンのフェルミ粒子を指す。電子、粒子、粒子、陽子、中性子などがディラック粒子である。 特殊な条件では、ディラック粒子は物質中で形式的に質量が0の粒子として振る舞う。

量子ホール効果:ホール伝導度が離散的な値をとる現象

量子ホール効果 半導体と絶縁体の界面や半導体のヘテロ接合面などの二次元内の電子に対して、数K以下の極低温下で、数テスラ程度の強力な磁場をかけると、ホール伝導度がとびとびの離散的な値をとる現象を量子ホール効果 (Quantum Hall Effect, QHE)という。…