ジアンミン銀イオン
塩化銀 (AgCl) は硝酸銀水溶液と塩化ナトリウム溶液を混合したときに生じる白色の沈殿である。塩化銀は水にはほとんど溶けない。しかし、アンモニア水には溶けてジアンミン銀イオン [Ag(NH3)2]+を形成する。このイオンは中心原子が銀イオン、配位子がアンモニアである錯体である。このアンモニアの配位子としての名称としてアンミンという語が使われる。このイオンはN-Ag-Nが直線上に配列した構造をしている。
このイオンの構造は、銀イオンのsp混成から考えることができる。銀イオンの電子配置は[Kr] (4d)10と表される。このsp混成は空いている5s、5p軌道を使って行われる。生成したsp混成軌道も電子をもたない空いた軌道である。非共有電子対をもっているアンモニアは、銀イオンの空いた混成軌道を利用して配位結合を形成することができる。