化学徒の備忘録(かがろく)|化学系ブログ

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電気透析による塩の製造とイオン交換膜

塩のつくりかたについて

日本では塩をつくるために、古くは塩田を使い海水を天日で濃縮し海水から塩を取り出していました。しかし技術の進歩などによって、塩田を使った塩の製造以外にイオン交換膜を使った塩の製造がおこなわれるようになりました。

この手法は陽イオン交換膜と陰イオン交換膜を交互に並べた装置に電場をかけて、海水を濃縮する電気透析報という技術で食塩をつくる手法です。

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イオン交換膜を用いた海水の濃縮

しかし、イオン交換膜を用いた塩の製造が行われた初期のイオン交換膜では、Ca2+やMg2+などの二価金属イオンやSO42-など海水に微量に存在する塩も濃縮されました。その結果、溶解度の低いCaSO4といった難溶性塩が透析中に幕表面に析出するという問題がありました。

この問題を解決する手法として、一価イオンのみを選択的に透過させるイオン交換膜が開発されました。

ただし、この技術によって食塩の中のにがり成分であるMg2+などの多価電解質塩の含有量も少なくなっているため、料理によっては、塩田から作った塩の方がおいしく感じる人もいるかもしれません。