化学徒の備忘録(かがろく)|化学系ブログ

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結晶格子の格子定数:大きさを定める定数

格子定数とは

格子定数 (lattice constant, lattice parameter) とは、結晶格子の単位格子の大きさを表す定数である。

格子定数は単位格子の三つの稜 (辺) a、 b、 cの長さと、三つの稜 (辺) a、 b、 cがなす三つの角α、 β、γの6つで表される。一般的にa軸とb軸がなす角をγ、b軸とc軸がなす角をα、c軸とa軸がなす角をβで表す。

また、稜 (辺) a、 b、 cの長さは単位はnm (10-9 m) もしくはÅ (オングストローム、10-10 m)、三つの角α、 β、γの単位は° (度) で表される。

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格子定数

ただし、結晶系によって、格子定数のパラメーターの数は変化する。

例えば、立方晶系の単純立方格子では、三つの稜 (辺) a、 b、 cの長さは同じため、aのみで表され、三つの角α、 β、γは90° であるため、格子定数はaの1つのみとなる。

一方で、三斜晶系ではa、 b、 cの長さ、α、 β、γの大きさが異なるため、a、 b、 c、α、 β、γの6つが格子定数となる。

格子定数の6つの値がわかると、単位格子の大きさと形が決まる。結晶格子は単位格子の積み重ねとなるため、空間格子全体も決定されることになる。

また、立方晶系などでは、結晶内の平行な2つの格子面の間隔が格子定数aとなることから、結晶内の平行な2つの格子面の間隔のことを格子定数という場合がある。

結晶の格子定数は数Å程度である場合が多く、X線の波長も1 Å程度であるため、X線を用いると結晶によってブラッグ反射を起こすことが可能である。そのため、X線回折測定によって、格子面の間隔や格子定数を求めることができる。