化学徒の備忘録

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ヴェガード則:合金の組成と格子定数の経験則

ヴェガード則とは

合金には置換型固溶体と侵入型固溶体が存在する。このうち置換型固溶体では、合金の組成と格子定数の関係についてヴェガード則 (ヴェガードの法則、ヴェガードの規則、ベガード則、ヴェガルド則、Vegard's law) といわれる経験則が存在する。

ヴェガード則は物質Aの格子定数をa_{\rm A}、物質Aのモル分率をN_{\rm A}、物質Bの格子定数をa_{\rm B}、物質Bのモル分率をN_{\rm B}としたとき、AとBの置換型固溶体の格子定数をaとすると、次の関係が成り立つというものである。

a = N_{\rm A}a_{\rm A} + N_{\rm B}a_{\rm B}

置換型固溶体では、溶質原子と溶媒原子の置換がランダムに起こると考えられる。そのため、固溶体の格子定数は、溶質原子の濃度に比例することになる。一般的に溶質原子と溶媒原子の格子定数の差が小さいときは、ほぼ直線関係が成立する。しかし、溶質原子と溶媒原子の格子定数の差が大きくなると、直線関係からのズレが大きくなる。

ヴェガード則に従う合金の場合、XRD測定などによって格子定数を求めることで、合金の組成を見積もることが可能である。

一方で、侵入型固溶体の場合は、置換型固溶体と比べて大きく結晶格子を歪ませるため、ヴェガード則は成立しない。