化学徒の備忘録(かがろく)|化学系ブログ

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タンパク質の一次構造・二次構造(α-ヘリックス・β-シート)・三次構造・四次構造

タンパク質の構造

タンパク質の構造は一次構造と高次構造に分けられる。高次構造はさらに二次構造、三次構造、四次構造に細分される。

タンパク質の一次構造

タンパク質の一次構造とは、タンパク質のアミノ酸配列順序のことである。

このタンパク質の一次構造の決定法には、いくつか方法がある。

タンパク質の二次構造

タンパク質の二次構造とは、特定のアミノ酸配列によって形成される小単位の局部的な立体構造のことである。

例えば巻く構造であるα-ヘリックス、伸びた構造 であるβ-ストランド、これらを繋ぐループ構造がある。

α-ヘリックス

L-α-アミノ酸から抗生されるペプチド鎖が、右回りに規則正しくらせんを巻く構造をα-ヘリックスという。

一巻き進むと、アミノ酸3.6残基が含まれる。この場合、n番目のアミノ酸残基のC=O基とn + 4番目のN-Hとのペプチド結合間で水素結合を形成し、安定な円筒形の立体構造を取る。この間の環状構造に含まれる総原子数は13個である。

β-シート

 ペプチド鎖が一定方向に伸びた構造はβ-ストランドといわれる。このβ-ストランドが複数並んでできる構造がβ-シート構造である。

β-シート構造はプリーツ状構造といわれる波状の構造をしており、多数の水素結合を形成し安定化している。

β-シート構造にはさらに逆平行β-シート構造と平行β-シート構造がある。

を逆平行β-シート構造とは、一本のペプチド鎖がUターンをして、多数の水素結合で安定化している構造である。

平行β-シート構造は、二本のペプチド鎖の方向が同じであるプリーツ状構造である。平行βシート構造を構成するためには、β-ストランドの間にα-ヘリックスを挟む必要がある。

ループ構造

ループ構造はα-ヘリックスとβ-ストランドをつないでいるペプチド鎖の立体構造のことである。

超二次構造・モチーフ・ドメイン

α-ヘリックスやβ-ストランドの複数から形成された構造ユニットは、超二次構造、もしくはモチーフといわれる。

さらに、この二次構造が複数集まり、組み上がったものをドメインという。

タンパク質の三次構造は、このドメインが1個、もしくは複数が組み上がって形成される。

タンパク質の三次構造

タンパク質の三次構造とは、タンパク質の立体構造のことである。

ほとんどのタンパク質はα-ヘリックスとβ-ストランドの両方で構成されるが、どちらかの構造のみで構成されているタンパク質もある。

ミオグロビンはα-ヘリックスのみで構成され、アミロイドはβ-ストランドのみで構成される。また、キモトリプシンやトリプシンも、ほとんどがβ-ストランドで構成されている。

タンパク質の四次構造

タンパク質の四次構造とは、三次構造のタンパク質分子 (サブユニット) が数個会合した集合体のことである。

サブユニット自身は機能を示さないが、四次構造を形成することによって、特有の機能を発現する。

ヘモグロビンは4つのヘモグロビンタンパク質からなる四量体の構造をとっており、血液中で酸素運搬の機能を示す。

また、複合体を形成しないタンパク質 (単量体) は四次構造が存在しない。