化学徒の備忘録(かがろく)|化学系ブログ

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波動関数・波動関数の性質・満たす条件の解説

波動関数とは

電子や原子、分子、分子集団、結晶などの状態を量子力学的に解く場合、シュレーディンガーの波動方程式を考える。

波動関数は、このシュレーディンガーの波動方程式の解である。

一般的に、波動関数は\Psiで表される。

波動関数は、実験からその値を求めることはできない。しかしながら、波動関数を二乗したものは、粒子の存在確率を表す。そのため、波動関数の二乗は、粒子の存在確率として実験で確認することができる。

波動関数は一般的に、複素数である。しかし、波動関数の二乗は実数となる。

波動関数の満たす条件

波動関数として意味をもつ関数は、一価性、連続性、有限性の三つの条件を満たす必要がある。

一価性とは、変数の一つの値に対して、関数の値が一つに定まる性質であり、波動関数に対して、粒子の座標と時間が与えられると、波動関数の値は一つに決定できる。

連続性をもつため、波動関数そのものと、波動関数が微分されたものは連続となる。

また、有限性をもつため、波動関数はどの領域でも有限の値をとる。

また、波動関数の二乗を全空間において積分したものは、1となる。このことを、波動関数は規格化されているという。

 \displaystyle \int^\infty_\infty | \Psi ^2 | d \tau = 1  

これは、粒子は空間内のどこかには存在するため、確率を足し合わせたものは1になるということである。

また、異なる状態にある二つの波動関数は直交する。これは式で表すと、次のように表される。

 \displaystyle \int^\infty_\infty  \Psi^*_n  \Psi _m  d \tau = 0  

ただし、n \neq mとする。