ブラウン運動とは
ブラウン運動 (Brownian movement, Brownian motion) とは、非常に小さい物体が、分子の熱運動によって、不規則に動く運動のことである。
例えば、溶液中のコロイド粒子のブラウン運動は、溶媒の分子の熱運動によって、コロイド粒子がランダムな力を受けることで起こっている。
ブラウン運動は、花粉由来の微粒子のブラウン運動を発見したR. Brownの名前よりブラウン運動と名付けられた。
ブラウンが発見した花粉を破裂させたときに出てくる微粒子が、水面や水中で不規則な運動をすることがブラウン運動の例として知られている。
また、気体中や溶液中のコロイド粒子のブラウン運動もよく知られている。
コロイド粒子が受ける力は、溶媒などの分子のランダムな衝突によるものである。通常、溶媒分子は非常に小さいため、溶媒分子の熱運動は直接観察することはできない。ブラウン運動は、その溶媒分子の熱運動が間接的に観察できる例ということができる。そのため、ブラウン運動は分子が熱運動をしている根拠といえる現象ともいわれることがある。
ブラウン運動の特徴
ブラウン運動は次のような特徴がある。
- 各粒子は互いに独立している
- ブラウン運動は不規則であり、常に方向が変化する
- 対流や振動とは無関係である
- 媒質の粘度は小さいほどブラウン運動は大きくなる
- 粒子が小さいほどブラウン運動は大きくなる
- 永久的である
ブラウン運動はアインシュタイン (A. Einstein) やランジュバン (P. Langevin) によって、理論化された。
ミクロブラウン運動とは
ミクロブラウン運動とは、高分子鎖のセグメント (部分鎖) の分子自体の熱運動のことである。
無定形 (非晶性) 高分子はガラス転移温度以上ではゴム状態をとる。このゴム状態では、熱運動が盛んであり、高分子のセグメントは回転運動などの局部的な運動を行う。
無定形高分子のゴム的性質やゴム弾性などは、ミクロブラウン運動によって起こるものであることが知られている。
マクロブラウン運動とは
マクロブラウン運動とは、高分子鎖のセグメントの運動の繰り返しによって、高分子鎖全体としての形態変化や、高分子鎖の重心の位置が変化する運動のことである。