アマルガムとは
水銀と他の合金の総称をアマルガム (amalgam) という。ギリシャ語の"柔らかいもの"という意味のmalagmaが由来である。汞和金 (こうわきん) ともいわれる。
金属の含有量によって、液体、ペースト状、固体などと変化し、一般的には水銀の分量が多くなると液状になる。
アマルガム法とは
アマルガムは加熱すると水銀が揮発し、放出される。そのため、合金金属のみが残る。これを利用して金属を精錬する方法をアマルガム精錬やアマルガム法、混汞法 (こんこうほう) という。
まず金や銀などの鉱石を粉末にした後、水銀とのアマルガムとして抽出する。このアマルガムの水銀を蒸発させることで、金や銀などを回収できる。
歯科用アマルガムとは
歯科用アマルガムはAg-Sn-Cu合金粉末と水銀の合金である。歯科用アマルガムは、歯科用の充填修復物として使われてきた。
アマルガムの混和直後は流動性があるため、歯の欠損部に充塡することが可能である。しかし水銀は速やかに銀などとAg2Hg3などの金属間化合物を形成する。そのため速やかに硬化する。
水銀の毒性が懸念されるが、硬化後の歯科用アマルガム中では水銀は安
定な金属間化合物を形成し、遊離水銀は非常に少ないためアマルガムの毒性は低いと考えられている。
日本ではコンポジットレジンなどに置き換わりほとんど使用されなくなったが、耐久性が優れているため海外では現在でも使用している場合もある。
アマルガムの合成方法について
ナトリウムアマルガムの合成
ナトリウムを不活性液体 (パラフィン油) 中で加熱して、ナトリウムを融解させ。そこに水銀を加える。最後に静置して、上澄みのパラフィンを取り除く。こうすることで、固体のアマルガムが得られる。
水銀を40度程度に加熱し、ナトリウムを加えて反応させると、ナトリウムが1%程度のナトリウムアマルガムが得られる。
亜鉛アマルガムの合成
亜鉛を水銀と少量の希硫酸とともに加熱する。得られたアマルガムは、水で洗い、分液漏斗で分離する。
カドミウムアマルガムの合成
亜鉛アマルガムと同様の方法で合成できる。カドミウムを水銀と少量の希硫酸とともに加熱する。得られたアマルガムは、水で洗い、分液漏斗で分離する。
ビスマスアマルガム
亜鉛アマルガムと同様の方法で合成できる。ビスマスを水銀と少量の希硫酸とともに加熱する。得られたアマルガムは、水で洗い、分液漏斗で分離する。
鉛アマルガムの合成
濃塩酸で、鉛を洗い表面の塩化鉛を取り除く。この鉛を水銀に加え、均一な液体になるまで加熱する。最後に冷却し、水で洗い、分液漏斗で分離する。