塗料について
塗料は素地となる材料の表面に塗ると、乾燥し表面に固着して皮膜を作る。
そのため塗料は材料の保護や着色、光沢などの美観、防火などの機能の付与などの目的で使用される。
塗料は原料によって、自然素材系塗料と樹脂系塗料に大きく分類することができる。
自然素材系塗料について
自然素材を原料とした塗料であり、シックハウス対策や自然な風合いから利用されている。
漆(うるし)
漆の木の樹皮から抽出した樹脂を原料とした塗料である。主成分はウルシオールである。堅牢で光沢がある。
蜜蝋(みつろう)
ミツバチの巣を精製したものである。塗料として用いる場合は、食用油で希釈した蜜蝋ワックスが用いられる。
柿渋(かきしぶ)
天王柿や山柿の渋(タンニン)を抽出した天然塗料である。防虫、防水、防腐、殺菌効果が高く、空気中のホルムアルデヒドを吸着する性質がある。
桐油(きりゆ)
桐の種子から抽出した植物性の油である。フェノール樹脂塗料などの樹脂系塗料と併用して使われることもある。
樹脂系塗料について
樹脂系塗料とは、さまざまな合成樹脂を原料とした塗料である。塗装の素地となる材料の材質や用途に応じて、さまざまなものが利用されている。
フェノール樹脂塗料
フェノール樹脂、植物油、顔料を混ぜた不透明塗料である。耐水性、耐薬品性に優れており"耐酸塗料"ともいわれる。価格が安い。
合成樹脂調合ペイント
ホームセンターなどで販売されている一般的な油性塗料である。
フタル酸樹脂塗料
合成樹脂調合ペイントより油脂量が少なく、乾燥性、光沢性、耐候性に優れている塗料である。
エポキシ樹脂塗料
耐薬品性、耐摩耗性、密着性に優れている塗料である。金属、ガラス、木材への付着性が優れている。金属やコンクリートなどに錆止め塗料や防塵塗料として用いられている。
変性エポキシ樹脂塗料
エポキシ樹脂をあらかじめ高分子量化してあり、ラッカーとして使用ができる。使用前に硬化剤を混合する作業も必要がなく、優れた密着性、防食性、加工性が得られる。
タールエポキシ樹脂塗料
エポキシ樹脂、コールタール、ビチューメン、顔料、硬化剤などを原料としている塗料である。耐水性、耐酸性があり、可撓性、付着性が優れている。
ポリウレタン樹脂塗料
ウレタン化アルキド、ウレタン油ともいわれる。
硬さ、安定性、付着性、耐熱性に優れている塗料である。塗膜には優れた光沢があり、燃焼性が少ないことが特徴である。
アルキド変性シリコン樹脂塗料
光沢、レベリングなどの塗膜外観がよいことが特徴である。耐候性、耐油性、耐酸性にも比較的優れている。
フッ素樹脂塗料
高耐候性をもつ塗料である。その優れた耐候性によって、塗り替え回数が少なて済む。そのためライフサイクルコストの削減に貢献する。
アクリル樹脂塗料
光沢保持性、保色性、耐水性、耐薬品性に優れている塗料である。また電気絶縁性がある。
アクリルシリコン樹脂塗料
付着力が強く、耐水性、耐薬品性、耐油性がある塗料である。フッ素樹脂塗料に近い超耐候性をもつ塗料である。またコストが安い。
塩化ゴム系樹脂塗料
耐久性があり、厳しい自然環境や施工が難しいところで使われる塗料である。