焦電効果とは?
焦電効果とは物質の両端に温度変化を与えたときに、その物質の端面に電荷が発生する現象のことです。例えば誘電体の結晶を加熱すると、その誘電体の表面が帯電します。この焦電効果のことをパイロ効果ともいいます。また、この焦電効果により生じた電気のことを焦電気、パイロ電気、ピロ電気ともいいます。また、焦電効果が起こる物質を焦電体といいます。
焦電効果が起こる理由
焦電効果は電気石などの特殊な結晶構造ももつ物質に現れます。このような結晶は自発分極する性質があります。
自発分極とは電場を印加しない自然な状態でも物質が電気的に分極をすることです。自発分極をする物質の特徴はC1、C2、CS、C2V、C4、C4V、C3、C3V、C6、C6Vの対称心をもたない点群のうちのどれかに属することです。また、電気双極子があるものが自発分極します。
自発分極した物質は、常温では空気中のイオンなどにより中和されます。しかしながら、物質が加熱されると自発分極に対する中和が破れることで結晶表面が帯電します。これが温度変化により焦電効果が起こる理由です。
焦電材料について
焦電体として使用される焦電材料としては、電気石(トルマリン)が有名です。電気石は焦電効果を示すことが、電気石という名前の由来です。LiTaO3、LiNbO3、(Sr,Ba)2Nb2O7、PZT、PbTiO3、トリアシルグリセロール(TAG)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などが知られています。
焦電効果の応用について
焦電体はこの焦電効果を応用することで赤外線センサーとして利用することができます。この焦電効果を利用した赤外線センサーを焦電型赤外線センサーということもあります。焦電型赤外線センサーでは、入射した赤外線エネルギーを焦電素子面で熱変換します。このため温度変化から焦電効果により電荷を発生させることができ、赤外線センサーとして利用することができます。